持ち腐れ ページ4
＿＿＿＿＿
「この合宿所に音楽室があったなんてね…。知らなかったよ。」
「私が言うのもなんだけど、スポーツセンターの楽器なんて誰が使うんだろう。」
紫音はつかつかと迷いのない足取りで音楽室に足を踏み入れる。
真っ先に向かったのは、部屋の中央で王者のような存在感を漂わせる漆黒のグランドピアノ。
１番親しみやすい…というか馴染みの深い、中央の ド の鍵盤を人差し指で押してみる。
「…意外と調律もされてる。」
ピアノは長期間使用すると弦が緩むなどして、だんだん音が狂っていく。
それを直すために定期的に調律(言わばチューニング)をしなくてはならない。
吹雪も勿論紫音も耳に挟んだことがない程知名度の低い音楽室なのに、そこの楽器はしっかり手入れが成されていたようだ。
「監督が一から揃えたわけじゃないみたいだよ。なんでも使う人はいなかったから楽器も埃を被ったままになってたんだって。」
「結構高くつくのに、放置なんて勿体ない…。」
紫音が言いたいのは 楽器は高い。だから売れ。ではなく、まさに宝の持ち腐れであるということ。
「紫音ちゃん、ピアノ弾くのかい？」
「そりゃ、ここまで来て何もせずに帰りたくはないし。………うわっ、重っ。」
より音を綺麗に響かせるために紫音は大屋根を開けようとしたのだが、これが重いのだ。
４歳は兎も角、１４歳の紫音でも軽々とは開けられるまい。
両手で下から押し上げようとするが、ありったけの力を込めても開くのはせいぜい１０センチ程。
「吹雪士郎、屋根持ち上げてくれる？その突上棒でちゃんと固定して。」
「突上棒ってこれのことかな？」
「そう。ありがとう。」
ちびっ子紫音も男子の力を頼ったり、女子だから出来ないと弱がるようなことはあまりしたくないのだが＿＿
今ばかりは仕方ないとしよう。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
