コンディション ページ30
＿＿＿＿＿
「時間ギリギリだったね。」
それぞれ男女別の更衣室で着替え、２人が選手ゲートに来た時にはもう入場の３分前だった。
「ホント、誰かさんのせいでね。しかもそいつは着替え済んでたっていう。」
嫌味たっぷりに紫音が横目で、隅の方にいる一星を一瞥した。
危うく遅刻するところだった原因となる彼は、楽しそうにしてるのでもなく、緊張しているように見える訳でもない。
チームメイトが誰も話しかけて来ないのはもう見慣れたが、一星からも輪の中に入ろうとしないのでいつ見ても一人ぼっちだ。
だから自分が話しかけてやるか…なんて善心は、紫音から絞り出しても一滴も出て来ないが。
「(……それにしても暗いなぁ。)」
入場ゲートの照明が少なくて物理的に暗いと云うことではなく、チームの雰囲気が暗いのだ。
前回の試合、オーストラリア戦では一星関連でかなりいざこざがあったので、内部分裂は勿論のこと。
加えて司令塔、鬼道ナシでの初試合、更にキャプテンの不在。
円堂がいないため士気を高めるような激励も無く、「おー！」と云う唱和も無いので皆の気合いは不十分、且つ気持ちはバラバラ。
コンディションとしては過去最悪だ。
ウズベキスタンに対抗するためのまともな特訓は、記憶に残る限りではあのリレー競走しか行っていない。
…今日の試合は一筋縄ではいかなさそうだ。
かと言って、コンディションのせいにして敗北する気も更々無い。
紫音は左右の足首を交代で捻り回しながら自分に言い聞かせた。
＿＿大丈夫、幼児化の後遺症的なものも階段から落ちて痛めたところもない。
＿＿途中退場したオーストラリア戦の屈辱はここで晴らしてやる。
＿＿中心選手の１人や２人で揺らぐようなチームじゃない筈。
＿＿いつも通り、周りをよく見て。
良し、と軽くその場でジャンプしてフットワークを確認し、あとは入場するのみ。
しっかり気が引き締まった紫音は、大歓声が轟くスタジアムを見上げた。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
