離れる気 ページ15
＿＿＿＿＿
♪♪
タツヤにとっては、急に垣間見ることとなった紫音の弱さ、意外な一面。
本当は正面から来て欲しいだとか、これがツンデレの『デレ』の部分かもしれないだとか、何も考えずとも浮かんでくる邪念をタツヤは全て払った。
今まで何度も会話を交わし、時には恋人と疑われるような行動を取ってしまったこともあった。
しかし、それらの出来事が起きてもいつも、紫音はときめかないし、赤面すらなかなかしない。
自分に全く気がないのか？寧ろ嫌われているんじゃないか？と自分自身を貶したことは普通にあった。
だが現在、離れる気は更々ないとでも言わんばかりに抱きついてくる紫音を背中で感じ、安堵感が広がった。
半袖故に露わになった、紫音の白く華奢な腕が腹の辺りにしっかりと回されているが、タツヤは苦しさを微塵も感じなかった。
それはあくまで女子の力量だからなのか、あるいは相手が紫音だからなのか＿＿＿。
タツヤも紫音も無言だったが、気まずさなどは１ミリも感じられない、和やかな雰囲気だった。
どれぐらいの時間が過ぎただろうか。
ポツリと先に話し出したのは、紫音だった。
「こんなに長く誰かとくっ付いたの、久しぶり…………いや、初めてかも。
家族はいないし、仲の良い友達も出来なかったからだと思うけど。
それだからか、タツヤの背中、温かくて安心する。」
「(家族がいない…？)」
紫音は抵抗なしにサラリと言ってみせたが、タツヤにとっては初めて聞いたことだ。
『ミステリアス美少女』と異名にまでなっている、紫音の纏う人を寄せ付けないようなオーラは、人と関わる機会が無かったのが原因なのかもしれない。
♪♪
「ごめん。急にこんなことして、迷惑じゃなかった？」
「迷惑なんかじゃないよ。紫音こそ、迷惑か聞いておきながら全然離れようとしないじゃないか。」
「まあね。」
お互いの顔は見えないままの会話だが、どんな表情をしているかは自然と想像がついた。
「部屋の鍵かけてないけど大丈夫？」
「尋ねてくる人いないから。万一見られても、ヒロトとか一星充とかじゃない限り平気。
あ、そういえばタツヤが聞きたかったことについてだけど…。」
「一星充」と口に出してから今更のように思い出した。
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ジュネ - そうですか。 (2020年4月7日 15時) (
レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - ジュネさん» すみません、もう消してしまったので作品は残ってないですね…。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
ジュネ - 代表に選ばれた四つ子姉妹をもう一度読みたいです。 (2020年4月6日 11時) (レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
女海結香 - ありがとうございます！他の作品も見てくれると嬉しいです！ツナさんも他の作品が出来たら教えてください！ (2020年4月5日 19時) (レス) id: a0c2a02850 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - 女海結香さん» 大丈夫ですよ！お互い更新頑張りましょう！ (2020年4月5日 17時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年3月12日 0時
