# お ま け ページ34
手先が震える。
俺はとにかく必死に祈った。
『………A…』
キツく握った手。
彼女の名前を口にした瞬間、張り巡らされた緊張の糸を切るように、ポンッと肩に手が置かれた。
ふと顔を上げると、目の前には看護婦が立っていた。
「旦那様……ですよね? 面会、良いですよ」
ふふっ、と優しい笑みを浮かべる看護婦さんの言葉に安堵の息が零れた。
俺は急いで彼女のいる病室へと向かった。
頑張った彼女と、産まれてきた小さな命に会うために。
*****
カラカラと無機質な音を立てて開いたドアの向こうには、
産まれたばかりの小さな体を愛しそうになでるAの姿があった。
「……あ、…そ らるさっ
彼女の華奢な体をキツく抱き締めた。
『…Aっ………』
じわりと熱くなる目尻。彼女は日だまりのように微笑み、俺の背中に細い腕を回した。
「……泣き虫な旦那さんだなぁ…
……この子の名前……どうする?
そらるさんとの子供だもん。大切にしたい。」
『……そうだね。
………俺が決めてもいいかな』
彼女の腕の中ですやすやと眠る、小さな小さな女の子。
「いいよ」
また彼女はふわりと微笑んだ。
*****
『………決めた!!』
かれこれ、数時間は悩んだ。
『……… 香月 ってどう?』
月のように儚いけど、芯があって。
皆を優しく照らし、導けるような穏やかな光。
そんなふうに育ってほしい。
『……性格はAに似るのかな』
「そしたら、顔はそらるさんかな? ほら、目元とか…」
『沢山学んでほしいなぁ』
「この子の夢を尊重したいね」
『俺らのとこに産まれて来てくれて、ありがとう、香月。』
その日、俺らの元に小さな命が誕生した。
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2021年3月18日 13時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ちはや(プロフ) - はじめまして。志麻さんと、そらるさんと、ヒプマイのうさポリ公さん推してます！よかったら仲良くしてください( ´ ▽ ` )ﾉ (2019年11月4日 21時) (レス) id: ad92af34a2 (このIDを非表示/違反報告)
まなか - 最高、、好き、、(・ｰ・) (2019年10月30日 22時) (レス) id: 054cf896c4 (このIDを非表示/違反報告)
とぅーかわ(プロフ) - 月夜さん» 早く早くって思うほど辛くなったりするし、焦らんでいいからね！うちはいつまででものんびり待ってるよ〜 (2019年10月29日 18時) (レス) id: 032bd3a16e (このIDを非表示/違反報告)
月陰(プロフ) - あまり無理しないようにしてくださいね。月夜さんのペースで大丈夫ですので 更新待ってますね (2019年10月29日 16時) (レス) id: 0f54c1b289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月夜@Fake | 作成日時：2019年9月16日 14時
