検索窓
今日:23 hit、昨日:15 hit、合計:246,980 hit

ページ15

アオイは食器類を片付け始めた。カチャカチャとお皿のぶつかり合う音がする。



「もう体調は平気?Aも心配してたわ。」



その言葉にああ、そっか。私、Aに寝かされたんだっけと他人事のように考える。
顔色も自分だと見えないけれど幾分と良くなった気がする。今度Aにお礼しなくちゃ。



「大丈夫。」

「なら良かった。晩ご飯までもう少し時間あるからもう少し寝ていても良いわよ。」



アオイは自分がいると私の睡眠の妨げになると思ったのだろう。せっせと片付けを終えてゆっくりしてね、と言葉を掛けてから部屋を後にした。



アオイのいなくなった部屋は妙に静かで物悲しさを覚えた。まだほんの少しだけお粥の優しい残り香が漂っている。


ぼすん、と布団に身を投げぼーっと考える。

Aと炭治郎。二人はどう言った関係なのだろう。
炭治郎がAのことを特別な存在だと認識していることは間違いない。
じゃあ、Aは?

Aは誰にだって優しい。でも、炭治郎に向けていた笑顔は一等綺麗だった。眩しかった。


やっぱり二人は…。


ブンブンと頭を横にする。まだ確定したわけじゃない。まだ、まだ…。



……本当は気づいてる。二人が想い合っていることに。
だってあんなに蕩けるような表情を向け合っていて好き同士でないなんて考えられない。

ただまだ今は“そういう関係”ではないんだと思う。何となく、そんな気がした。


でもいずれはきっと、二人はお互いにとって一番大切な人に成り上がるんだろう。



これは私の初恋が散りゆくことを暗示しているんだ。嗚呼、凄く心が痛い。
でも、嫌いになれない。寧ろ好き。大好き。
Aも炭治郎も。

好きよ好き。大好きよ。二人共、大好きなのよ。
皮肉な話ね。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (505 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
253人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。