青い蝶は東に降りる (ページ17)

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東光太郎の孫としてページ17

霧崎さんからの情報は大半は私が知らないモノだった。
祖父が若かった時代は、多くの怪獣が出現していた。
きっとその時代の人たちは心が休まらなかったハズだ。

今と昔の科学力を比べて考えると、いつ怪獣が出現するか分からない恐怖と戦いながら生きていたのか。

礼奈「…私がその時代に生まれていたら死んでいただろうな…。」
霧崎「結構、暗く考えるんですね。東光太郎さんの孫だから…、もう少し明るい答えが出ると思いました。」

東光太郎だから…ね…。

礼奈「よく言われた。祖父は底抜けに明るい人だったから…親戚によく疑われました。」

霧崎「…そうですか。」

本当に光太郎の孫なのかと言われた時、祖父が怒ったのを憶えている。
はじめて、祖父の怒った顔を見た。

その後、私を抱きしめて泣いた。
「ゴメンよ。ゴメンよ。礼奈。」と涙を流して泣いた。
それ以来、私は祖父の泣く姿を見たくなくて、無理に明るく振舞った。張りついた笑顔で愛想を振りまいた。反吐が出そうだった。

霧崎「苦しかったですか？」
礼奈「…ええ、とても！」

言い方が失礼だっただろうか？
霧崎さんは何も問いかけなかった。

礼奈「怪獣に向かっていく祖父の姿か…。全然想像つかないな…。」
私は呟いた。

霧崎「フフッ…相当な覚悟が必要だったと思いますよ。」
当然だ。最悪、死ぬことだってあるだろうから…。
祖父はどれ程の怖い思いをしただろう。

霧崎「礼奈さん、彼がZATに所属していた時の写真はないんですか？」

礼奈「それが…1枚もなかったんです。ZATっていう組織があったことは話してくれたんですが…、そもそも昔のことをあまり話さない人でした。」

霧崎「彼の実家にあるかもしれませんね…。」
礼奈「いいえ…そこにもありませんでした…。」
余程、隠したい。
いや、知られたくない事があるのだろうか？

霧崎「私が知っている内容はコレだけです。次は礼奈さんが話してください。」
礼奈「いや…貴方の話を聞いたら、話そうにも話せないですよ…。」

霧崎「言ったでしょう…？私は誰よりも”彼”を知りたい…。」
彼は妖艶に微笑んだ。

男性でありながら、所作の1つ1つの色気が際立つ。
コレが素だったら尚更、恐ろしい。

礼奈「それじゃあ…話しますね。」