信じるもの Ⅱ【トラファルガー・ロー】 (ページ5)

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三十話ページ5

たぬきちゃんが不思議そうな顔をするので、話すのはやめにした。けど、誤解を解かなくては...

『私が得意とするのは“演技”です。舞台に出るようなそんなちっぽけなものでは無い。
“人を騙す、欺く”為の演技です。“ピエロ(芸者)”たるもの、演技は必要。私は今、全員を騙している状況です』

｢じゃあお前...！｣

『安心して下さい。先程も言ったでしょう？私は腐ろうが死のうが船長についていく、信じる。あなた達、同盟相手の麦わらの一味の敵ではありません』

｢そ、そっか...！｣

とりあえず、理解してくれたみたいだ。

この後、どうするか...実験は始まる。恐らく檻の中の人も実験体にされる。それはどうにかして避けなければ。

｢助けて！助けて！お姉ちゃん！！｣

廊下を歩いていると上の方から鉄の扉を叩く音と女の子の叫び。

｢この声、さっきの...｣

『ビスケットルームの子供でしょう。気持ちは分かりますが、今は時間がありません。
私はまたあの部屋に戻らなくてはなりません。出来るだけヤツらの気を引き付けておきます。たぬきちゃんは仲間の方へ向かいますか？気配はまだ外ですが』

｢俺、お前と一緒にあの部屋また行くよ！｣

『分かりました＿＿＿＿黒技・消(ブラックアート・ミラー)行きますよ』

＿＿＿＿＿＿＿

メイン研究室

｢あら戻ってきたわね、コーヒーはいかが？｣

『お気持ちだけ貰います』

｢間に合ったな。それにしても遅いな、シーザーは...｣

まだキャプテン達は檻の中。いつコイツらにこちら側と認識させるように(種明かし)するか...

白いガスとともにシーザーが現れる。

｢おうA、お前もこちら側か...シュロロロ！｣

『...実験は？』

｢直だ。モネ、映像を出せ｣

シーザーはヴェルゴの部下のことの文句を垂らす。

｢だがそれも今日までの話。お前もいいザマだ、ロー。ヴェルゴには手も足も出なかったんじゃねェか？可愛い可愛いクルーにも裏切られてよォ！お前との契約が役に立ったようだ。やはり人は信用するもんじゃァない｣

ヴェルゴの手にはキャプテンの心臓...

クソ、目の前にあるのにまだ隙がない。

｢ウッ...アァ！！｣

『...ッ』

ダメだ、ここで殴り出ても悪い方向にしか動かない。
じっくり機会を伺うんだ...