信じるもの【トラファルガー・ロー】 (ページ16)

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十四話ページ16

ふわっとピンク？かもですが全然そんなことない(はず)です

夕食後、いつも通りワイワイ騒いでいたがいい感じにその場を後にし、船長室へ向かう。

...最近、夜に呼び出されることが多くなった。

私なりに理由も考えているけれど、ほぼ憶測ばかりで正解なんて分かりやしない。

でも、なんで呼ぶんですか、なんてそれも何か違う気もする。

考えても何も変わらないと私は思考を止め、船長室のドアをノックする。

自分の名前を言うと｢入れ｣と言われ扉を押す。

部屋に入り、私はベッドに座る。

ソファーはあるにはあるのだが、今は医学書だの書類だので座ることは出来ないので仕方なく。

彼はいつも通り医学書とにらめっこしていた。また新しいの買ったんだ。

私の場合は、ああいう風に一つをずっと集中、ということは出来ないことがほとんどだ。勉強熱心なキャプテンは私の憧れでもある。

集中している横顔も、男であるというのに女性に負けない程に綺麗で見惚れてしまう。

...今何を考えた、私

こんな二人きりの部屋でなんて事を...と顔を両手で隠すと正面に影がかかるのを感じた。

ふと顔を上げると彼の整った顔が鼻の先にあった。

ただでさえ吃驚するというのに、端正な顔立ちの男が自分の顔の目の前、しかもキャプテンだ。
恥ずかしくない訳が無い。ひぇ、と情けない声と共に私はまた顔を隠す。

クツクツと笑われ、｢俺の顔がそんなに気になるか？｣と揶揄いを含んだ口調で言われる。

顔を隠したまま勿論否定する。恥ずかしいなんて思ってません。

｢悪ィ悪ィ｣と謝られたが謝罪の念は1ミリもないだろう。

私は顔を上げ、キャプテンの動きを目の端で観察する。彼は私の後ろ側を通り、ベッドに沈む。

ん、と、いつもより低い声と少し甘い目。

いつもは上がらない口角がほんのり上を向いて、彼は左手を出す。

私は同じベッドに体を沈め、彼と同じ方向を向き、彼の手の中に収まる。

私は今、バックハグをされている抱き枕状態だ。

私の考えていたのはこれだ。

女ヶ島から出て、夜に呼ばれるようになってからはいつもこんな感じだ。

...正直、恥ずかしくて仕方ない。

年頃の女が男に抱き締められている。しかもベッドで。

こんな状態、傍から見たらそういう関係だろうと一発で思われるだろう。

せめてもの救いは顔を向き合わせてないことだ。向き合わせたら...考えたくもない。