恋人なのに、、【ON'O】 (ページ25)

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永玖side

颯「永玖は好きな人いる？」

唐突に好きな人から好きな人いる？と聞かれて心臓がはねる。でも馬鹿正直に颯斗だなんて言えない。

永「いるよ」

颯「そっか。俺実はね、二か月前から付き合ってる人いて。もう別れたんだけどね」

　「でも、全然。あっちは友達として好きでいてくれたのに、俺、告白したとき思いっきり泣いちゃって。」

笑顔が引きつってる。むりに笑おうとしないでほしい。でも多分笑ってないと辛いんだろう。笑って、大丈夫だってならないとどうしても悲しくなってくるから。

颯「それで付き合うようになって。はじめはどんどん俺のこと好きになってくれたらいいなって感じだったのに、どんどん欲とか出てくるし」

　「重かったのかな。やっぱ恋人としてとかキモイのかな。」

すごい哲汰がうらやましいと感じた。颯斗にこんなに愛されてるのに。俺は大切な友達どまりなのに。こんなに悲しげな表情させて、泣かせて、できることなら俺が笑顔にしたいし、幸せにしたい。

颯「今日ね。自信なさげに俺なんかのどこがすきなの？って。大好きだから自分のことでも俺なんかとか言って欲しくなかった。なんか話し出したら止まらなくて気持ち全部ぶつけちゃったんだよね」

　「引いたのかな。そのあと、別れようって。」

哲汰に限って引くとかはないだろう。でも否定はしたくない。否定してしまったら、俺が哲汰に勝てるとこはどこにある。でも哲汰より俺が優れていたとしても多分颯斗は哲汰が好きなのには変わりないんだろうな。

何も答えられなかった。何か言葉を振り絞ろうとしても何も出てこない。何かないのか。気づいたら静かな空間に颯斗の寝息だけが聞こえてくる。

今日一日の疲れがきたのか、眠りについてしまった。どうせもう寝てる。気づくわけない。

永「なんで俺じゃないの。好きだよ、颯斗。」

颯斗の頬にキスを落とす。変わらず気持ちよさそうに寝ている颯斗を見て、罪悪感とそれに負けないほどの高揚感を感じた。

勇気がなくて告白できない逃げ腰の俺がこんな事する資格なんてない。さっさと告白しちゃいたいとは思ってもふられるのが怖くて、この関係性を続けたくて逃げてしまう。本当にダメダメだ。