第四十七話 意固地 ページ10
「渡すって…、何故鶴達が僕を利用するんだ…！？」
「……A、貴女の性格は百も承知してるわ。気に入ったもの、興味が湧いたもの。自分の目に数秒でも留まったものは、必ずと言っていいほど手に入れてる。」
「それが何？ 私の性格とその力とやらが何の関係があるというんだ？」
「それが、貴女の短所だから。」
短所…？
私は今、自分の母親が何を言っているかわからない。
……違う。わかりたくないんだ。
何故なら僕は─────
「────貴女は一度も、〝何か〟を手放した事が無い。もし物ではなく、人間……人の形をした〝もの〟に執着心を抱けば何をしてでも手に入れる。そしてずっと傍に置いておく。ヘタしたら、〝付喪神〟さえも気に入ってしまう程の執着心がある。」
「……」
「本来なら、刀の付喪神は時の政府が作った審神者が居なければ顕現出来ない筈。A、貴女が霊力供給をしているのかしら？」
「……だったら？」
生きている中で、こんな低い声を出した事は無い。
理由は判ってる。
理解したくないと脳は拒絶するが、いやでも私の本能が判ってる。
理由は、餓鬼っぽいが、怒るには要る
「母さんに、何の関係がある。だいたいだ、鶴達の何を知っている。」
その言葉は自分に返ってくるとしても、僕は続ける。
「僕は鶴達を手放さない。母さんが何しようと、僕は彼らと一緒に居る。それに、鶴との約束はまだ、続いてるんだ。破りたくない。」
「……」
「っ…、み、ろく……」
「母さん、鶴に掛けた金縛り、解いて。
私は、気に入ったものは絶対手放さない。
死んでも、傍に起き続ける────。
私は、一度決めたら曲げない質だ。
母さんも、良く知っているはずだ。
「……あーもう、私の娘頭良すぎだし空気読める子じゃない。そこに意固地で素直ときた、私のやろうとしたこと全部実行出来ないじゃない！」
「……」
一気に空気が変わった。
いつもの母だ、天真爛漫の如く人に自分の考えを知られない様にする、まるで
「あーやめやめ、Aは頑固だから一度決まったら曲げない真っ直ぐしか進まない自転車みたい！ 」
今猛烈に母さんを殴りたくなった。
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