第七十四話 本題 ページ37
場違い発言を噛ました母にドン引いて困惑するも負けじと母を見る。
本来なら帰りたい、帰りたいが質問したのに帰るのは良くないと思ったから。
母の発言のせいで気が抜かれてしまったが、今までの緊張感返せよ、と文句を言いたいが。
誠に、遺憾だが、遺憾ではあるが。
「母さん」
「…まったく、分かったわよ。おじーちゃんの事ね、確かにおじーちゃんは病気で亡くなったわけじゃないわ。」
やはり、と自分が導き出している答えと一致していて一時安堵する。
病気で亡くなった訳じゃない、なら何故亡くなったのか。
それだけが、解らない、寧ろそれを考えようとすると何かに思考が遮られる。
やっと、────やっと知る事の出来る〝真実〟。
ただ、知りたいと思う反面、知ってはならないと〝何か〟が言っている。
でも、知りたい。この繰り返しだ。
「おじーちゃん…、惣次郎が亡くなってしまったのは〝二つ〟のある理由が原因」
そこで切って、ひと息吐いて、また吸って吐く。
まるで心の準備をしている様。
軽かった空気が、少し重くなった気がした。
「理由一つ目、衰弱していた時に〝力〟を使ったから」
「力…？」
「そう、簡単に説明すると、相手の霊的波動のバランス調整する。これを一般世間じゃ〝波動修正〟と言うわ。おじーちゃんはこれを応用し、ある人の霊的波動を修正したの、マイナスからプラスへ」
聞いた事はある。それをやると、開運にも繋がるという。
祖父がその力の保持者とは思わなかった。
だが納得も出来る。祖父と一緒にいるのは居心地がよかった。
だが、衰弱していた時に力を使って、何故死んでしまうのだろう。ちょっと疑問に思う。
「理由二つ目、これは物凄く重要。おじーちゃんは波動修正を使ったはいいんだけど、自分には使えない。本来この力は本気出せば呪い返しなる事も出来る。なんならそこらにいるイタコとか霊媒師とかよりすんごい事出来るわ、特におじーちゃんレベルになるとね。
でも欠点がある、さっき言った自分には使えないということ。」
まって、それってまさか…
いや間違っててほしい、その前フリは少し危ない匂いがする。
先を聞きたくない、耳塞ぎたい。
今なら今まで買った骨董品を質屋に売り飛ばせる。そんな自分的に狂気じみたことが出来てしまうところどれだけ混乱しているのかが容易にわかってしまった。
「───惣次郎は、〝呪い〟に侵されていたのよ。」
そんな事実、ききたくなかったのに。
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