第五十六話 おもえない ページ19
何も映さない藤色の瞳は、前に見た鶴の陰った瞳よりもっと深かった
一目見た瞬間、嗚呼こいつもか。と悟った。
私は良い人間ではない。クズでも無いが、優しくない人間だと自分ではっきりと言えよう。
だから、あの眼を見た瞬間どうも思わない。
────否、思えなかったんだろうな。
理解しようとすればするほど判らなくなる。
現在も、鶴について知ろうとしても無理だった。
だからあの時、鶴を拾ったんだ。
多分、そうだ。じゃなかったら────
─────じゃなかったら、私は鶴を見捨ててた？
自問自答する自分の答えに吐き気と嫌悪感を抱いた。
顔に出なくても、雰囲気でわかってしまうのは何故だろうな。
「……私は別に、君たちがどうなろうが知らない。だがな、五虎退が帰りたいといえば私は力を貸す。優柔不断に物事を決められないやつに手を貸しても、先は切り開けん。織田信長もそうだったんじゃないか？」
「あんたに俺らの何がわかる…！」
「判らないから他人事のように言ってんだろ、餓鬼みたく吠えるなよチビ」
あちらが手負いの虎なら、こちらはどこにでも居る猫だろう。
明らかにあちらが上だ、だが考えても見ろ。
私は彼等より遥かに劣る。理由は何故か、戦争の当事者じゃないからだ。
だってそうだろう？ 私は平和な時代に生まれ今も生きる普通の学生だ。
だから楽観視が出来るんだ、争いも何も無い、この平和ボケした時代を生きれば、そうもなろう。
一番人生を歩いているのは、彼らの方だ。
だから判らない、何を考えているか、何をおもっているのか、判るはずが無いだろう。
私と薬研藤四郎は、睨み合ったまま動かずにいた。
──ゴチンッ！
「っだ…！」
「い゛っ！？」
「喧嘩すんなら他所でやんな！ 薬研、あんたは自分の弟を怖がらせていいのかい？」
「…っ」
「Aもだよ！ 大人気なく口で負かしてんじゃないよ！」
「っ〜〜…！！」
「ちょ、主、大丈夫…？」
大丈夫じゃない。
目でそう訴えれば鶴が拳骨された場所を撫でてきた。
余計痛いからやめて…
＿＿＿＿
孤児院の院長先生
名：ハナ
齢：四十代前後
詳細
明神の屋敷の近くにある風吹いたら崩れそうな孤児院の院長。
孤児のみんなはハナ先生と呼び、本名は誰も知らない。
明神の母、己狐と知り合いと言うが…？
明神曰く怒らせたらダメなタイプ
＊＊＊
沖縄Ver.の長谷部は諦めた。だがソハヤ、貴様は諦めん←
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