祝・第五十話 あに ページ13
「五虎退…？」
院の中へ入ろうとした時、後ろから低く聞こえるか聞こえないかの声量の呟きが聞こえた。
……いや、実際聞こえているが。
振り返れば、風に靡く黒曜石の様に綺麗な髪と藤の花を思い浮かばせる瞳をした、中学二年くらいの少年が立っていた。
綺麗、だが……
「やげん、にい…？」
「やげん……、薬研藤四郎か…」
粟田口派の短刀で織田信長が所持していた。
然し、本能寺の変で燃えて紛失。
以降行方知れずの刀。名の由来は、漢方薬を作る時に使う薬研という道具に突き刺さったのが理由だった筈。
いや、それはいい。
今はそれはどうでもいい。
何故ここにその薬研藤四郎が居るんだ。
鶴達と同じく現世に来ちゃったみたいなのが流行っているのか。
刀剣男士の間で迷子と家出は紙一重が流行っているのか？
……鶴にぶっ叩かれそうな案件だな。鶴がこの場にいなくて良かった。
…………良かったはいいが。
「物騒な物はしまってくれると助かるんだが」
「何でうちの五虎退が人間と一緒に居るんだ」
「話聞けよ見た目詐欺」
話を聞いてくれない系男士か、そうか。
教育的指導でもしたろか…？
鶴はまあ、話聞いてくれるけど私が何かやらかすと哉翔と同類になる。
清光はノーコメント。聞かないでくれ。
しかし困ったな。
今此処で死ぬ訳には行かないんだが。
まだ集め足らない、まだ満足していないのだ。
今思えば私、命懸けで対話してないか？
清光の時も、そして今も。
「ところで…」
「……」
「五虎退の虎を知らないか？」
絶対鶴に怒られることした。
だって、薬研藤四郎が唖然と私を見ていたから。
言っておくが、私は今起こっている現状より目的最優先だったりする。
「薬研にい、その刃を納めてください…！」
「五虎退…！？」
…………清光が見てたドロッドロの昼ドラ思い出したちくせう。
＿＿＿＿
薬研くんでしたーいぇーい。
そしてイベント掛け持ちつらーい(白目)
期間が鬼畜うぇーい(脳死周回待った無し)
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