いずれ地獄でお会いしましょう【へし切長谷部】

美味しい ページ6

手を洗い終え
連れてこられたのは食堂

皆、いつもここで食べてるんだね

長谷部もここで食べてたのかな？


「こりゃ驚いた…」

普段あまり姿を現さない主が
急に現れたのだ

食堂にいた皆の視線は私に刺さる


『あはは…久しぶりだね』

冷たい空気が頬を掠める

しかし…それは一瞬だった

「はははっ、主ではないか」

三日月の朗らかな声に少し安堵する

「ぬしさま…っ」

「主殿、ご無事だったのですね…」

小狐丸に一期一振
他の皆も心配してたと口々に話す


『なんか、ごめんね』

姿を現さないだけで
こんなにも心配されるなんて…

そもそも、なぜ私が
皆の前に姿を現さなくなったのかも
ハッキリと覚えていない

自分の意志でこうなったのだろうか
もしくは、誰かに躾けられたのだろうか

「今日はここで食べるんだね、主」

『みっちゃん…』

「ご飯冷めちゃうよ？
ほら、加州くん達も座って」


みっちゃんの声掛けに清光達が座り始める

「ほら、主」

安定に手を引かれ席に案内させられる

「主さん顔色悪いけど大丈夫？」

「確かに元気ねぇーな」

また皆に心配をかけたら
審神者として失格だ…

『大丈夫！元気だよ』

悟られないように、笑顔を向ける

「なら良いんだけど…無理しちゃダメだよ？」

「あーもう、食べよう？俺お腹空いたー」

空腹に耐えられなかったのか
清光が少し拗ねてしまった

『そうだね、食べようか！
私も今日はお腹ぺこぺこだよ…！』

いただきますと手を合わせ

ご飯を口に含む


「やっぱうめぇな」

「兼さん、口に物入れたまま喋らない！」

いつも美味しい
みっちゃんと歌仙の料理

「あっこら！安定、今俺の肉とっただろ」

「なんのこと？」

皆と食べてるせいか

いつもより倍美味しく感じる


『美味しいね…っ』

「えっ、ちょ？！主泣いてる？」

「あー、清光泣かせたー」

「俺じゃないし！」


いつも私が平和だと思っていた日常は

平和じゃなかったのかも知れない

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