19話 《朝》 【日向】 ページ19
スマホのバイブ音に起こされた。目を擦り伸びをして一段落、スマホを確認すると時刻は五時前。辺りはまだ薄暗い。
洗面所へ向かうため障子を開ける。すると庭一面に広がる雪、雪、雪。寝ているうちに降り積もっていたのだろう。年甲斐もなくはしゃいでしまうのは目を瞑っていただきたい。雪はうちの本丸でも元居た場所でも滅多に見られないのだ。庭に降りて暫くその感触を楽しんでいたが、全身に駆け巡る寒さに意識を戻された。早く着替えないと風邪をひいてしまう。
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ミシミシとなる長い渡り廊下を歩き厨に入ったがまだ誰もいない。一番乗り。自分は今日の朝食当番なのだが他の当番の人はまだ来ていないようだ。頭の中で粗方決めておいたメニューを反覆する。ご飯、味噌汁、だし巻き玉子、あとは何を作ろうか。昨夜のうちに米は水に浸けておいたし出汁もとっておいた、がメインはまだ決めていなかった。まあそちらは他の当番の人に任せるとしよう。今日はとても寒いし何か温かいものでも。
本丸に来るまで、料理したことなんて一度も無かった。けれど料理の得意な男士達に手取り足取り教えてもらい、一人で厨に立つことを許されたほどにまで上達した。初めて料理したときはあまりにも出来が悪く自分でも食べるのを躊躇ってしまった。それでも皆は残さずに全部食べてくれた。気を使わせてしまった。料理がこんなに大変だとは……と一人反省会を開いたこともある。苦い思い出だ。
まだ来ないのなら先に始めてしまおうと冷蔵庫を開ける。
「おや」
昨夜見たときは確かにあったのに、卵が幾つか無くなっていた。んー……と少し考えてからまあいいかと何個か卵を取りだし冷蔵庫を閉める。なんてことはない。一人当たりの取り分がちょっと減るだけだ。犯人の追及はしない。ちょっと大きな鼠が出ただけだ。ただそれだけのこと。
材料を混ぜている最中、ドタドタと激しい音をたて朝食当番と思わしき人が入ってきた。まだ寝ている人もいるので、人差し指をたて静かにするよう合図する。急いで来たのだろう息は荒いし髪もぐしゃぐしゃだ。まだ時間に余裕はありそうだからひとまず身なりを整えてきたらどうか――と中々口に出せないのが自分の性分だ。当番表は確認していたが名前を見てもそれが誰だったか顔を見るまで分からない。が顔を見ても分からないことの方が殆どだ。人の名前を中々覚えられないのは不便だし相手も不快だろう。努めてにっこり笑う。
「おはようございます。今日も頑張りましょうね」
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風鈴(プロフ) - 霧月さん» はい、構いません！空いてる日は明日ですが大丈夫ですか？ (2017年1月2日 0時) (
レス) id: 4377e4976a (このIDを非表示/違反報告)
霧月 - ごめんなさい。諸事情により更新出来ませんでした。ので空いてる日に更新させて頂いても良いですか？ (2017年1月2日 0時) (レス) id: 8bfb8600b1 (このIDを非表示/違反報告)
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