Ｔｏｐａｚ__9th__ (ページ9)

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◇転げた陽＿1 ページ9

ar.side

天気のいい日は気分もいい。
明るいといったら太陽か俺かみたいなとこあるからな！

空へ向けてぐーっと腕を伸ばす。

涼「………友達いないの？」

大「はっ？」

……人がせっかく気分よく歩いていたのに隣からこれだよ。鞄を落としちまったじゃねーか。

大「裕翔に置いていかれた可哀想な弟を思いやって一緒に登校してやる優しい兄様だろ」

毎朝迎えに来てくれる裕翔を今朝は“先に行って”と行かせたのは涼介だ。

一人で登校中に何かあったら大変だろ？
心配性な父兄で悪かったよ。

大「お前が寝坊すんなんて珍しいよな………おい？」

ちょっといじってやろうと隣を見たら姿がない。

あいつ、一瞬で消えやがった……何処に隠れたんだ？んなことしてたらマジで遅刻するぞ？

大「あ、いんじゃん。涼介、早く来いって」

案外簡単に見つかったな。
今歩いてきた道にしゃがみこんでいた涼介。

小さくて見えなかっただけかー。

大「おーい………俺が悪かったよ。俺も何度も寝坊してっから気にすんな…………………無視？」

呼び掛けても返事もしないし立ち上がる気配もない。

仕方なく来た道を戻る。と、遠くからでは分からなかったが涼介の肩が小刻みに震えている。

大「っ、どうしたっ？！」

涼「っ、……っ、……なんでも、っう…」

道のど真ん中に座り込んで“なんでも”は通用しないだろ。体調が悪いならそう言えよ。

大「吐きそうなのか？なんか袋……」

一人でスタスタ歩いてたら一緒に登校している意味がないだろ。

元気なときほど“歩くの早い”だとかって文句を言ってくるくせに。静かなときは要注意。

あー、あと冒頭の“友達いないの？”発言。

伝わりづらいかもしれないけど、長年涼介の兄貴をやっている俺には分かる。

あれは素直に“ありがとう”と言えない照れ隠しだ。

都合よく捉えすぎだって否定されっかもしれないけど。

涼「ぅっ、…っっおぇっ」

必死に口を押さえて耐えていたみたいだけど、出すものを出さない限りは治まらない。

ついに耐えきれなくなり、胃の中から上がってきたものが体外へ出される。

それを俺は手で受け止めた。

大「っ、いいぞ、このまま吐いちゃえ。後は俺がなんとかすっから」

……んな、信じられないみたいな顔すんなよ。

袋がなかったら仕方ないだろ？

涼「ゃ、だ……やめて……きたな……ｫｴっ…」

大「こんなん洗えばいいんだよ」