Ｔｏｐａｚ__9th__ (ページ41)

今日:1 hit、昨日:23 hit、合計:155,415 hit

山田家父の事件簿＿5 ページ41

．

慌てて電話をかけると、

涼『なぁに？ちゃんと寝てなきゃダメでしょ？』

大分温度差の違うのびのびとした声に、逆に俺が心配された。

無事ならいいけど……人通りの多い慣れた道を歩いて、用事を済ませたらすぐに帰ってきてほしいのが本音。

＿＿＿にゃぁ………

慧「ん…？猫？」

涼『うん、子猫がね、動けなくなってたの………………今助けてあげるね。怖くないよ～？』

寄り道の理由はそれだったのか。

天使のような我が子は人にも動物にも優しい。
子猫の鳴き声を聞いて見過ごせなかったんだね。

涼『怪我は……してないね。よかったぁ。お母さんのところへお帰り…』

慧「子猫は無事だったの？涼ちゃんはっ？」

涼『うん…………くしゅんっ…』

慧「あっ、」

…………涼介には猫アレルギーがあるんだ。

本人は“大丈夫”と言うけど…………これだから、“大丈夫”は信用できなくなっちゃう。

現にくしゃみをしているし、息苦しいとか他の症状は出てない！？やはり、迎えに行った方がいいか………

涼『さてと、侑李のお迎え行こ～。もう電話切るよ？ちゃんと休んでてね』

慧「待って！今からそっちに……………」

言うが早いか涼介は電話を切った。

はぁぁぁ、…………心配で落ち着かない。

と、思いきや。

＿＿＿………っ…ら…………ゅ………

慧「ん？」

切られた、はずの電話から声がして画面を見てみるとまだ通話中。

涼介は切ったと思っているようだけど、繋がったままだった。

盗聴しているようで悪い気もする…………けどこれ、このままでいいかな。

暫くは環境音を拾うだけで無言。
青い丸が動くのを眺めている時間が続いた。

…………そろそろ、髙木と会ってもいい頃だよね。

涼『あ、髙木さんっ！侑李お帰り～！』

侑『たらいまぁ、りょおすけきてくれたの！ゆーり、いっぱいうれしぃっ！』

涼『えへ、そんなに？慧くんが聞いたら泣いちゃいそう』

慧「……………ぅぅ、……」

本来は俺が迎えに行くはずだったんだ。
そんなに喜ばれていると複雑………

髙『お父さん、大丈夫？』

涼『大丈夫……なんですかね。休んでてって言っても、全然僕の言うこと聞いてくれなくて………髙木さんからも言ってくれませんか？』

な、涼介………俺を困ったちゃんみたいに髙木に話している………