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◇山田家父の事件簿_1 ページ37

慧side




普段と変わらずに過ごしているつもりでも、目に見えない変化というものがある。


涼「慧くん!触らないで!」

慧「っ、少しくらい手伝わせてよ〜」

涼「だめ!」


その結果が今だ。

エプロンをして家事をする。
普段なら俺(か、大貴)がやるのに、今やっているのは次男涼介。


涼「………ちょっと慧くん!何してるの!」

慧「………バレた」


逆に。

俺が手を出せば涼介に怒られる。


何故かって?それは………


慧「涼ちゃん、ごめんなさい。怒らないで?」

涼「怒ってるんじゃなくて心配してるの。慧くん、熱があること忘れてないよね?」

慧「忘れてはないよ。でもね、この通り元気なのよ」

涼「倒れた人に言われても説得力ない」


………そう。

俺は今朝、涼介の前でぶっ倒れた。


軽い貧血だったけど…………意外と丈夫な身体をしている俺は風邪を引くのも一年に一回あるか、ないか。

子供たちの前で倒れることなんてほとんどない。


しかも、大貴は昨日から合宿で。
侑李もお友達の家にお泊まりに行っている。

つまり俺は二人きりの家の中で突然倒れた。
一人倒れれば残り一人。涼介は相当焦っただろう。




“おはよぉ〜”の挨拶のあと、プツリ……と意識が途切れたんだよね。

次に目を覚ましたときには寝室のベッドにいたから“夢でもみてた?”と思ったけど、


涼「………けいくん、しんじゃわないよね…っ……」


ひっく、ひっく………嗚咽を漏らし、俺の心配をしている涼介がいたから現実。

そうと分かれば飛び起きて“心配しないで!”と元気な姿をみせて安心させたかったのだけど……ちょっとまだ身体がいうことを利いてくれなかった。


「こいつはそんな柔じゃないから大丈夫」

慧「……ん゛…………っ…?」


……………あれ?涼介以外の声も聞こえたような…………


涼「でもね………おはよう、って………わらいながら、たおれたんだよっ……」


笑いながら………倒れたのね、俺。それは恐怖。
悪いことしちゃった。


涼「………きっと、ぼくのせい……」

慧「違うよっ……!」


また、くすん…と鼻を鳴らして。

俺のせいで涙を流そうとしている涼介に、今度こそ力を振り絞って俺はベッドの上で弾んだ。


慧「はぁっ………」

涼「けいくんっ」

薮「やっと目が覚めたな。心配かけやがって」

慧「薮がどうしてここに……?」

薮「涼介に呼ばれたに決まってるだろ」

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夢莉(プロフ) - kurumiさん» kurumiさん、ありがとうございます…! (2022年9月21日 0時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
侑果(プロフ) - 更新お願いします (2022年8月20日 0時) (レス) id: 353b74dee7 (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - これからも頑張ってください!! (2022年8月18日 11時) (レス) id: a7797ca1bd (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - おもしろいです!! (2022年8月18日 11時) (レス) @page21 id: a7797ca1bd (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - めいめいさん» めいめいさん。ありがとうございます…!これからも楽しんでいただけるように頑張ります(^^) (2022年7月12日 19時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢莉 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2022年5月9日 18時

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