知らなくていいコト_4 ページ33
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慧「…………30分。」
あれから俺は一階の和室に一人でいる。
大ちゃんのお洋服に着替えた涼介はご機嫌で。
“けいくん、おしごとしてきていいよ…?”
と急に親離れされてしまった…………寂しい。
とは言え、やらなければいけないお仕事もあるわけで。
ちょこちょこ時間を確認しては耳を澄ます。
慧「………1時間も経ってる」
物音もしなくて泣き声も聞こえなかったから寝ているんだろうな。
…………ならばその隙に。
慧「………お熱計るね」
涼「……ん、んっ………」
慧「…………38℃か。」
冷えピタの替え………あ、さっき使ったので最後だったんだ。箱の中身は空っぽ。
買い物に行くなら今かな。
…………と、立ち上がろうとしたものの。
慧「っ、あれ………」
下から引っ張られてる………?
寝ているはずなのにね………?俺のTシャツの端っこを掴んで離さない涼介に……動けなくなっちゃったよ。
大貴にも少し大きめサイズの部屋着は涼介にはブカブカで、俺についてきて上がった腕から肩まで袖が落ちてしまっている。
慧「もぉ〜、可愛いが過ぎるよ」
冷えちゃうからね。お布団にしまって。
それにしても腕が細いなぁ……………俺似だからかな?俺も大概細いと言われる。
その昔“もやし”とあだ名をつけられそうになったこともあった。
………もう少し太って丸くなっても可愛いだろうなぁ…………難しいお年頃の涼介に軽々しくそんなことは言えないけど。
涼「……ごほっ、ごほっ!」
慧「咳止まらないね」
涼「っ…はっ、ん…んー」
止まらない咳のせいでパチッと目が開いて。
“助けて”と言いたげに瞳が揺れる。
身体を起こして背中を擦り落ち着くのを待っている間にも体温は上がるし、寄り掛かられている重みも増す。
脇に挟んだ体温計が落ちないように抱きかかえるとガクンっ…と首が落ちた。
慧「涼ちゃんっ……?」
涼「けいくん、いいにおいする…」
慧「へ、?」
匂い………嗅ぐのはいいけど、動きが独特すぎるのよ。ビックリしたじゃない。
ピピピッ………と音が鳴れば、予想通りの高熱を示した体温計。
まだ上がるかもしれない…………早めに病院へ連絡しておこう。
赤ちゃんのように手をグーにして俺に寄り掛かる涼介をベッドに寝かせて、少し離れようとしたけれど………………
慧「涼ちゃん、この体勢だと辛いでしょ?」
涼「………ぃゃ…………」
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夢莉(プロフ) - kurumiさん» kurumiさん、ありがとうございます…! (2022年9月21日 0時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
侑果(プロフ) - 更新お願いします (2022年8月20日 0時) (レス) id: 353b74dee7 (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - これからも頑張ってください!! (2022年8月18日 11時) (レス) id: a7797ca1bd (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - おもしろいです!! (2022年8月18日 11時) (レス) @page21 id: a7797ca1bd (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - めいめいさん» めいめいさん。ありがとうございます…!これからも楽しんでいただけるように頑張ります(^^) (2022年7月12日 19時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
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