Ｔｏｐａｚ__9th__ (ページ20)

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君を思って＿6 ページ20

涼介side

夢を見た。

幼い頃の僕の夢。

ひとりぼっちで泣きながら何処かに座り込んでいる。

その手に何かを握ろうとしたとき、後ろから声が聞こえた。

“………涼介っ、なにやってるんだ！………”

伯父さんの声だ。

すごく怒っている。

震えて声も出せず、身体から力が抜けて倒れる僕。

………怒らないで……っ、…

僕は、僕はもう………頑張れないの。

“………………涼介、……お前はな……………”

僕は……………僕は、なに？

誰も本当のことを教えてくれない。

いらなかったよね…

いなくなった方がいいよね……

お母さんが会いに来てくれなくなったのは、僕が大変なことばかりするからだよね。

みんな、僕のことを嫌いになる。

“頑張れ”って言われるから、頑張っているのに……まだまだ足りないの。

…………頑張り方が間違っているの？分からない。

“…………涼介、大丈夫だよ…………”

最後に僕を掬い上げてくれたのは温かくて大きな手だった。

あれは…………誰だったのだろう。慧くんかな…………

涼「……………ん、………」

慧「涼ちゃん……おはよう。病院だよ。覚えてる？」

涼「………ぅん……」

夢から覚めれば時が過ぎた未来の景色。

側の椅子に座り僕を見て微笑む慧くんがいる。

眠る前よりもぐるぐるがなくなって、気持ち悪いのも楽になった。………腕に繋がったこれのお陰かな。

慧「点滴が終わったら帰ってもいいって。でも数日間は絶対安静にね」

涼「…………」

慧「………涼ちゃん？まだ、ボーッとする？」

涼「っ、…けいくんっ………」

慧「っ…………」

安静と言われた傍からベッドから起き上がって慧くんに抱きついた僕。

ダメだね………怒らないで受け止めてくれる慧くんの優しさに涙が出る。

涼「…ぼくは、………悪い子……」

たまにしか会わない人が僕を嫌うなら、毎日大変な思いをしている家族は…………慧くんは、大ちゃんは、侑李は…………

夢を見ると僕の心は毎日泣いてばかりいたあの頃に返ってしまう。

進んだり、戻ったり……おかしいね。

僕の時計は壊れているのかな。