Ｔｏｐａｚ__9th__ (ページ11)

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転げた陽＿3 ページ11

涼介side

涼「………ん、……」

何かに髪を撫でられたような気がして目が覚めた俺。

大きな窓に舞っているかのようなカーテン。オレンジ色の影………………えっ！？

涼「今何時っ……？」

随分と深い眠りに落ちていたみたい。
身体を預けていたソファは俺の形に凹んだように思う。

…………それにしても、

涼「………誰もいないの？」

大ちゃんも俺の巻き添えで一緒に帰ってきたはず。

この時間なら買い物に行っている可能性もあるけど、寝ている俺だけを残して施錠もせずに出掛ける人ではない。

涼「大ちゃん……？」

“…………………うっ、…ぅ…………”

誰かが唸っている…………洗面台の方…？

廊下に漏れた明かり。

半開きの扉からこちらに飛び出して見えるのは………ジャケットの袖のようなもの。

まさか……………変な人が家に入ってきたとかではないよね…………唸り声も全然止まないし怖い。

怖いけど………恐る恐る覗いてみる。

涼「………誰っ？」

大「っ………りょ、すけ………」

涼「っ！大ちゃん？！どうしたの？何かあったの！？」

大「ちょっと……気持ち悪くて…………ぅっ」

涼「大丈夫っ？立てる？」

いつからここにいたのか分からないけど、見たこともないくらいに真っ青な顔をした大ちゃんは地べたに座って壁に寄り掛かっていて。

どう見ても“ちょっと気持ち悪い”レベルではない。

抱えていこうかと思ったけれど、非力で。
数分前まで自分が占領していたソファまで肩を貸した。

大「悪いけど……水………」

涼「水？分かった、待ってて！」

水、の次は何をすればいいんだろう。

自分が具合の悪いときにしてもらっていること。

………ダメだ。覚えていない。

慧くんに連絡………それもダメだ。今日は帰りが遅いんだった。

大「涼介……もう、身体…大丈夫なのか……？」

涼「うん」

今朝は寝坊したのではなくて、目は覚めていたけれどお腹の中が気持ち悪くて起き上がれなかっただけ。

少し良くなったから学校へ行こうとしたけど………大ちゃんに迷惑をかけちゃった……あんなことさせるなんて………

涼「っ、もしかして大ちゃんに移ったんじゃ…………」

大「うっ…、」

涼「大ちゃんっ？！」

飲んだ水に反応したのかお腹と口を抑える大ちゃん。

これは絶対にそうだ……今朝の僕と同じ…………