大好きだよ＿6 ページ45
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すぅ……すぅ………
大「侑李、ありがとな。あと頼んでいい？」
侑「うん」
眠っている涼介を側に放り出した晩御飯の準備を再開する俺。
なんだこれ、不味い……味見をしても無味に近く感じる。
らしくもなく……尾を引いているようだ。
兄くじを外した弟たちが可哀想に思えてしまって。
……ずっしりどっしりした、カッコいい兄貴にはどうしたらなれたのだろう。
ガキの頃から何かと涼介を泣かせてきた気がする。
慧「大ちゃん」
大「ん…？あぁ、手伝ってくれんの」
涼介には侑李が付いているからか。
………この後悔と反省は料理に移さないようにしないとだな……
大「…………ごめん…」
慧「謝られることされてないよ」
大「……弟を泣かせてるのに…？」
慧に謝った本当の理由は、兄で長男なのに立派な根っこを生やせずにぐらぐらと揺れてしまっていること。
大「……最初から期待なんてされていなかったかもしれないけど…」
慧「……ねぇ、大ちゃん」
大「ん……」
慧「大ちゃんはもっと自分を褒めてあげて。
お兄ちゃんだからって気負いすぎないでいいんだからね」
心を見透かしたような言葉に思わず顔を上げると、慧は湯気のたつ鍋を見ていて。
“さて運びますか”
俺の方は一切見ずにテーブルへ運んでいく。
そこまでがきっと、慧の優しさ。
大「慧………」
慧「大ちゃん、涼ちゃんのことよろしくね」
……それは、俺は俺でもいいってこと……？
このままで、さっきのままで………任せてくれるの？
大「………涼介…」
侑李が空けてくれた席。
泣き腫らした目元に乗せられたタオルを取り声をかける。
すると、予想外のことが起きた。
涼「ん、っ……………ぃ…ちゃぁ…っ……」
大「っ…！」
目を覚まして数秒、突然起き上がった涼介に抱き付かれる。
とても弱い力で重力に負けてしまいそうなのに、しがみつくように。
涼「ぅぅ、っ……ｯ…ｺﾎｯ………」
大「ばか、そんな急に動いたらダメだろ？」
ああ、また………俺は口うるさく……
だから大切に思っているのに伝わらないんだ。
涼「…ごめっ、なさ…………」
大「待て………俺の方こそ、ごめんな」
離れていきそうな涼介を今度は俺が抱き締めた。
背中がプルプルと震えている。
涼「……だい、ちゃっ…は、りょうのこと、…いらなぃっ…？」
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