ボクはとなりで_3 ページ35
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ぺたぺた………
裸足の僕は廊下にそんな足音を響かせる。
掃除機をかけている慧くんは僕がいなくなったことに気づかない。
涼『っはぁ、……んっ……』
少し歩くと僕は、はぁはぁっ…しちゃう。
やっとお部屋の前についても、大きくて重い扉はなかなか開けられなくて。
涼『んんっ、……はぁ…んっ……』
………あかなぃ…っ………うぅ、あいたい………
涼『…ふぇっ……』
心が折れて廊下に座り込んだ。
……リビングには戻れないし、立っているのも疲れちゃったんだ。
そのうち視界はどんどん傾いていく…………と、
慧『涼ちゃーん?何処に行ったのー?お返事してくださーい』
………慧くんが僕を探す声。
涼『っ、けぇく………』
あんまり大きな声は出ない。
それでも届かない、なんて考えはなくて。
絶対に来てくれるって信じていた。
慧『あっ、涼ちゃん発見。どうしたの?』
涼『…あのね、あの………っ…』
慧『ん?』
伝えたいことが上手く言葉になってくれない。
話す順番なんて考えられなくて、思ったそのままが出てくる。
涼『おひるね、したの……わすれちゃったから…………でも、あかなぃ…くて………』
慧『………涼ちゃん、おいで』
涼『んっ……』
両手を広げてくれる慧くんの腕の中に収まる。
カチャリ……部屋のドアノブを回した。
慧『何か忘れ物かな?』
涼『ぁ、』
慧『この子……?』
涼『んっ、りょうちゃんのっ…』
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慧side
いやぁ、びっくりした。
振り返ったら涼介がいなくなってるんだもん。
大貴は落ち着きの無い子だから家の中も走り回るし、スーパーへ行けばすぐに姿を消すから常に目を離せない。
それに比べ涼介は、人見知りと体力の問題もあるけれど、べったりくっついて離れないからね。
突然いなくなられると物凄く焦るのよ。
……いや、大貴でも焦るけどね?
慧『涼ちゃーん?何処に行ったのー?お返事してくださーい』
………………何も聞こえない。物音すらしない。
そんなに広い家でもないし、勝手に外には行かないのを分かっているからすぐに見つかったけど。
廊下に座り込んで、うるっうる。
どうやら、ぬいぐるみをお探しだったよう。
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