◇ボクはとなりで_1 ページ33
慧side
休日の正午。
侑李とナマケモノごっこをしていると、ふらっとやってきたのは涼介。
涼「………裕翔のところ、行ってくる」
慧「珍しいね」
と、言うのも………涼介が中島くんのところへ行くときは家に居づらいとき……主に大貴と喧嘩をしたときで。
普通に家に遊びに行くってこともあるけど、そういうときには必ず中島くんが涼介を迎えに来てくれている。
涼「行ってきます」
慧「行ってらっしゃい、気を付けてね」
子供たちは三人とも平等に変わらず愛しているんだけど、未だに涼介が一人で出掛けることに………他とは違う心配をしてしまうのは過保護なのかな。
大「ただいまー、うぉっ!涼介っ?」
帰ってきた大貴とこれから出掛ける涼介が鉢合わせ。
それにしても、驚きすぎ……リアクションが大きいのよ。
と、思いきや…………
大「お前、どこに行く気だよ。絶対体調悪いだろ」
え………今の聞き逃さなかったよ。
涼「……………どいて、」
大「じゃ、靴脱げ」
涼「やだ………」
これは傍聴者ではいられない。玄関へ続く廊下へ出ると、座り込む涼介と立ちはだかる大貴の姿。
涼「っ………全然、だいじょうぶだから…っ…」
大「!ぁっぶねぇ………ふらついてんじゃねーか」
涼「だいちゃんが、邪魔するから…だ……」
そういうことだったのね………慧くん、騙されちゃったよ……これ以上、誤魔化しの腕上げないで。
慧「涼ちゃん、中島くんとは約束してるの?」
涼「………ぅん」
………してないのね。
急に嘘が下手になる。
慧「中島くんに電話してもいい?」
涼「なんで……」
慧「ん?涼ちゃんをよろしくお願いしますって。いつもお迎えに来てくれるときも言ってるでしょ?」
涼「………」
ちょっと意地悪しちゃったかな?
拗ねた表情で“……やめた…”と言って部屋へ戻る涼介。
慧「よく気付いたね」
大「手が震えてなかったら、俺も騙されてたよ」
表情など自分自身でコントロール出来るところは騙せても、身体は正直ってこと。
慧「んもぉ、涼ちゃん……」
隠さないでいいのに…………心配=迷惑……じゃないのよ。でっかい愛なんだからね。
ついこの前まで、あんなに幼かったのに……………………………
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