お呪いを解いて_7 ページ32
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涼「…っ………ゅ、り……」
慧「隣にいるからね」
処置後に涼介が運ばれたのは、眠っている侑李の隣のベッド。
ネームプレートに“山田侑李”と“山田涼介”が並んだ。
涼「………ゅ、…り……」
横を見やり、一筋流れていく涙。
………安静にしていてほしいけど、どうしても気にしてしまう……
大「侑李は大丈夫だから、今は喋るな」
大貴が諭してくれて、少し静かになる………けど、暫くすると………
涼「っ、…く…ぅ゛……」
慧「涼ちゃん……?」
涼「ぃ゛だっ、っ…痛いっっ…!」
突然、痛いと泣き叫び始めた。
慧「ああっ、だめだよ…!」
涼「ぃやっ…痛いっ、痛い痛いっ…」
誤って管を抜いてしまいそうな勢いだったから、身体を抑えてナースコールを押す。
麻酔が完全に切れて、強い痛みが出てしまっているんだ。
涼「はっ…!い゛っっ…んぁ゛あっ…!」
薮「涼介ー?痛いな、薬入れるからな」
………その薬も、痛みを完全に無くしてくれるわけではない。
少し動いただけでも激痛が走る。
涼「ヒック……ぅぅ………いたぃ、っ…いたぃ……」
泣き続ける涼介の気を紛らわせようと俺と大貴が躍起になっていると、隣のベッドから送られている視線に気付く。
侑「…っ、んぅ………りょ、…すけぇ……っ…」
涼「っ………っ、…ゆぅ……っ…」
慧「……そうだよ。涼ちゃんと侑ちゃん、ここにいるからね………」
横を向いて見つめ合う2人。
侑「……らぃ、じょ、ぶ……」
涼「…っ、ん……ぃ、じょーぶ…っ……」
そうすると、ようやく涼介は冷静さを取り戻し、痛みに耐えながら薬の副作用で眠ることができた。
……また強い痛みで起きてしまうだろうって先生が言っていたけど………
大「隣にいたから心強かったんじゃないか?」
よかった、とは言えないけど……お互いの存在が支えになったのは確かだ。
それが無理な我慢でないことを願うだけ。
大「大丈夫だよ。すぐ元気になる」
慧「みんな大丈夫、大丈夫って………無理してない…?本当に思ってる……?」
自宅療養の時だって、そう言っていて結果、入院になった………怖いよ。
大「わかんねぇ。お呪いみたいなもんじゃん?大丈夫じゃないなんて言ったら心までやられそうだろ?」
お呪い、、、
大「慧こそ大丈夫か?弱気になってんなら家帰れ。俺が涼介と侑李といる」
慧「………大丈夫。
お呪いじゃなくて、信じてるから」
_____お呪いを解いて編fin.
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