優しさのアンテナ_4 ページ4
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薮「じきに目は覚めるだろうけど………何があったんだ?」
慧「すみません……それが分からなくて……」
涼介は一度も目を覚まさないまま、病院へ連れてきた。
朝早くからでも快く迎え入れてくれるお医者様には感謝………
薮「あと、腕の怪我」
慧「はい」
薮「あれは、ぶつけたとかではないな。誰かにやられたか………自分でやったか」
慧「えっ………」
……………あの魘され方……………誰かに……?
今まで涼介に自 傷行為はなかったはず……………あ、いや…………難しいところだな。
「先生、涼介くんが……!」
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「……はぁっ………いゃっ、やめて……!」
廊下まで聞こえてきた声。
慧「涼ちゃんっ」
薮「どうした、何があった?」
看護師さんが呼びに来てからすぐ…………なのに、病室は荒れていた。
涼「はぁ、はぁ………ぃやだ………っ…」
床に落ちる布団、ガシャンッ……!と倒れる音が響き、無理に引き抜かれた点滴。
看護師さんや先生が落ち着かせようとするも、裸足でベッドから降りた涼介が病室の窓を開けようとする。
薮「涼介っ!」
涼「……ひぃ………は、ふぁっ…」
薮「山田も手伝ってくれ…!」
慧「っ、涼ちゃんっ…落ち着こう?ベッドに戻ろうねっ、?」
こんなに細くて、ふらふらしているのに………この時ばかり力が強い。
涼「ハァッ……ぼくの……はッ………せいっ………な、の…っ………」
どうにかベッドまで戻したものの、誰かが押さえていないとすぐにまた。
………過呼吸も起こして危険。
薮「涼介ー、ゆっくり息吸おうか」
涼「ひぁ、……はっ…ぅー…うっ……」
薮「涼介なら出来るからな。吸って……吐いて………」
涼「ヒッ………はぁぁっ……!」
誰の声も耳に入っていない様子…………酸素マスクを付けられても、いらないとばかりに外して。
暴れれば暴れるほど、俺には涼介が何かと闘っているように見えた。
薮「腕、チクッとするよ」
涼「いっ……ハァッ……やっ………はな、しって…」
慧「ごめんね、涼ちゃん」
この腕が折れないように………離れていかないように……………強く優しく握る。
暫くすると涼介は、また眠った。
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