誰も言えない_6 ページ25
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涼「…………おはよう…」
翌朝、気まずそうに降りてきた涼介。
お世辞にも顔色が良いとは言えず、寧ろ疲れきっている。
慧が後ろにぴったりとくっついているけど、起きてきてよかったのか……?
大「おはよう…」
慧「どうしても大ちゃんに言いたいことがあるんだって……」
俺に………?わざわざ降りてこなくても、呼んでくれれば部屋まで行ったのにな。
涼「………大ちゃん、ごめんなさい」
大「?」
涼「……部屋、間違えたって慧くんに聞いた……」
慧め………言わなくていいのに。
大「そんなこと気にすんなよ」
涼「汚しちゃったでしょ……忙しいの分かってるのに、余計な仕事増やして…………役に立たなくて、ごめんなさい……」
頭を下げて謝ろうとした涼介は重心の移動に失敗して、そのまま前に倒れてくる。
俺と慧が前後から手を伸ばして支えてやるも、もう膝が立たないらしい。
慧「ふらふらするね、そのまま目閉じてようね」
涼「っ、ん………けぇくん、は…仕事……戻って………」
我慢せずに言ってくれ、といつも言い聞かせているけれど。
元々の性格と……今回は俺たちが言い出しづらい状況を作ってしまっていたんだよな。
慧は涼介が心配で仕事どころではないだろう。………が、それでまた無理をされても困る。
涼介の部屋にパソコンを持ち込むか、書斎に布団を敷いて寝かせようか……考えたけど。
本人は“一人でいい”と言い張る。
………怪我するから逃げないでくれって……
どうしたもんかと模索して3人で固まっていると……
侑「トントントンッ…!」
慧「っ?」
大「侑李?」
突然割って入ってきたのは、パジャマ姿の末っ子。
………何故だか、誰よりも凛々しい顔付きで。
侑「けぇくんはおしごと、だいきはがっこう、はやくいくの…!
りょおすけは、ゆーりがみるっ!」
「「まじですか」」
その年齢とは思えない頭の回転の速さで、涼介に言い返される前に慧に保育園へお休みの連絡をさせる侑李。
涼「……だいじょぶ……なのに…っ……」
侑「ゆーりにうそつく、りょおすけはきらい」
涼「っ………ゆぅり……」
あぁ………嫌いって言われて、落ち込んでる…………悪いけど、効果覿面。
慧「それじゃあ……侑ちゃんにお願いするね」
大「頼んだ、侑李」
涼「……ケホッ…………ぅぅ……」
うちに侑李に逆らえる者はいないのだ。
____誰も言えない編fin.
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