風に打たれて_6 ページ18
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涼『…………っ、………』
意識を失った俺が辿り着いたのは真っ白な世界。
肺にいっぱい空気が吸える。
もう苦しくない。
自由な足で歩き回るも………出口は何処だろう………?
俺、方向音痴だから“何処行くんだよ涼介”って、呼んでくれる大ちゃんがいないと……………
涼『…っ………だめ…だ………』
分かっていた……この場所が何処で、俺がいる意味も。
そして、この場所に大ちゃんを呼んではいけないことを。
涼『っ………グスッ……うぅっ…………』
どんなに泣いても慰めてくれる人はいない。
“………涼介……?”
そう呼ばれることも………
“………涼介………”
涼『っ………だぃちゃん…?』
この声……絶対、そうだ………
俺が泣いてるから?来てくれたの?………それなら、泣き止まなきゃ……っ……
大ちゃんには生きて、誰よりも幸せになってもらうんだ………来ちゃだめなの…。
俺がいなくなった今、縛られるものが無くなったでしょ……?
“…………何処行くんだよ…………そっちじゃないだろ……”
涼『………だ…め…………』
“………ダメじゃない。こっちに来い…………”
涼『……怒って、ないの……?』
『………許して……くれるの……?』
“…………………”
涼『…………っ、だいちゃん』
返事の代わりに、迷子の俺を導いてくれる大きな背中が見えた。
それを見つけたら、
本能が“………ついていかなきゃ………”と動き出した。
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.
涼「…………だぃ…ちゃ………つか、れ…た…ょ……」
長いこと景色の変わらない道無き道を歩き続けた。
不安はなかったよ、大ちゃんは俺を置いていかないから。
大「っ、……りょうすけっ…?」
………あぁ、やっと振り向いてくれた…………まだ怒っているから向いてくれないのかと思ってたけど……
涼「………ど…した…の………な、んで……泣く、の……?」
目を真っ赤に腫らして、頬を濡らしている。
どうしたの……?大ちゃんも道が分からなくなっちゃった………?
慧「……涼ちゃん…っ……」
慧くんも…………俺たちが遅いから、迎えに来てくれたのかな……?
どうして………二人とも、泣いているの?
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