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風に打たれて_5 ページ17

涼介side




「……さぁて、」

涼「ハアッ……ぃやっ、ゴホッ……ぅ、ゴホゴホッ…」


凶器から目を逸らせずにいると、その大きな身体で遮られて。

1秒後の自分に降りかかるであろう悪夢。
だんだんと息がしづらくなっていく胸の痛み。


涼「ヒィッ……!…来ないでっ、くださ…………っ……」

「怖がらなくていいんだよ」

涼「ゃっ……ッ…はぁっは、っ……たすけてっ…!」



「煩いな……………」


…っ……怒ってる…………刺される……殺される…っ…


「少し静かにしようね」

涼「……んぐっ…ぅぅ……っ……!」


上手く吸えない酸素を求めてぱくぱくと開いていた口にタオルが詰め込まれた。


…くる…し、い…………ほんとに、しんじゃう……っ…………


涼「…っん、……っ……ん、…っ…」


抵抗を示すことも恐ろしい。


………こんなの現実じゃない…っ………俺じゃない………俺は家に帰るから……


そう思い込んで助かろうとする。


…………もうすぐ慧くんが迎えに来てくれる。そうしたら侑李と遊ぶんだ………そのうち、大ちゃんが……………………………だいちゃん…………………



“大ちゃんの弟になんか生まれてこなければよかった……っ!!”




「そうそう、イイコだね」

涼「ヒっ……く…………っ…」


……このまま死んだら、大ちゃんに嫌われたままだ………


涼「……っ……………………」


嫌だと思う俺は、、、自分勝手が過ぎたね。


カタッ…………


「…………よーく、みせて……」

涼「……、…………」


慧くん、ごめんなさい。

大ちゃん、ごめんなさい。

侑李、ごめんなさい。


みんな、ごめんなさい。



………もう俺は家に帰れない。


酸欠でぼーっとする頭で男の手が俺に伸びてくるのを認めながら………落ちる目蓋に逆らうことを辞めた。

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作者名:夢莉 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2021年7月10日 15時

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