風に打たれて_4 ページ16
大貴side
……………俺が悪かった?
大「涼介のやつ………」
図星を突かれて八つ当たりしたところもあったけれど………
俺はただ怒っている訳じゃない。
涼介のことが嫌いだったら何も言わずに放っておくよ………いつまで経っても心配で、口煩くなってしまうんだ。
高校生になっても、大学生になっても、成人したって。
あいつは嫌がるだろうけど、親と同じ目線でみているから。
慧「追いかけて行かないの?」
大「…………慧が行ってやればいいだろ」
後悔はしている………手を上げるつもりはなかった。
感情に任せて涼介を叩いてしまった右手が、鉛のようにすごく重たい。
慧「意地になっても良いことはないよ」
大「………どうせ裕翔のとこだろ……そのうち…………………あ、」
慧「?」
涼介、何も持たずに飛び出していったよな……薬飲み忘れてないか?………午後は急な雨が降るかもって天気予報で言ってたけど傘も持ってないだろ。
慧「………お兄ちゃん」
反抗期の子供を持つ親は、毎日こんな気持ちなのかな。
大「…………出掛けてくる」
慧「忘れ物しないようにね。行ってらっしゃい」
……………忘れ物、か…………
ちゃんと連れて帰ってくるよ。
大「もしもし、そっちに涼介来てるか?」
裕『来てないよ。また喧嘩したの?』
半分以上、確信をもって電話をした。
なのに、おかしい………いくら歩きが遅いっつっても距離はそんなにない。さすがに着いているはず。
涼介が“言わないで”と頼んだとしてもそれとなく“いるよ”と伝えてくれるのが裕翔だ。
いないとすると、いったい何処へ……?
裕『そういえば…………うちの近くに、大ちゃんがよく履いてる靴と似ているものが転がってたんだけど……心当たりある?』
大「っ…たぶん、涼介が履いて出てった」
裕『……まさか……………これは考えすぎかもしれないけど………』
大「え……?」
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