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恥ずかしくないよ_6 ページ29

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………涼介は。


「大ちゃんは涼介のことどう思ってるの?可哀想?」


先生は怖いや。

いきなり核心を突いてくる。


大「………それ、前にも聞かれた気がする」


「ははっ、何年経っても変わらないな?」


………………あれは俺もまだ小学生で。


涼介の仮退院が決まって、楽しみにしていた日。

ちょうど世間ではインフルエンザが流行ってていて……………………何処で貰ったのか、退院どころか意識混濁状態が続いたんだ。


“なんで涼介なの?”

“可哀想だよ”


あのときは、そう言ってしまったな。


「…………涼介の気持ちは誰にも分からないよ。辛さも痛みも経験した本人じゃなきゃ、本当に分かるわけがない。

医者やってて多くの人を診ている俺も。

でも、寄り添えるのが人間だろ?涼介は可哀想じゃない。家族がいる」


今はもう、そんなこと思ってないよ。

ただ、無力な自分に腹が立っただけ。


大「涼介、いつ目覚めますか?」








慧「だいちゃんっ、!」

大「慧、お疲れ」

慧「涼ちゃんは大丈夫なのっ!?」


病院に運ばれてから一時間くらい経った頃に慧と連絡がついて。
すぐに行く、と言葉通り………10分ほどでやってきた。

仕事用のスーツに所々泥が付いている。

………あぁ、今日夜から雨予報だったな。


大「まだ目が覚めてない」

慧「そう……ごめんね、大ちゃんも大丈夫だった?」

大「俺は別に……」

慧「良かったよ………涼ちゃんを助けてくれてありがとう」


俺は俺に出来ることをしただけ。

予定よりも早く切り上げて帰って、救急車を呼んだ。
ほんと、それだけなんだ。

俺が涼介を助けられたとしたら、それは………元気に目が覚めたときだよ。


「山田、」

慧「センセ……涼ちゃんはどうですか…?」

「まだ自発呼吸が弱い。それに熱も下がってないから、入院してもらいたい」

慧「…お願いします」


慧と二人で涼介が寝ている病室を覗く。

酸素マスクや機械から伸びる線、点滴。

顔色は少し良くなっているけど………固く閉じられた瞳の奥は泣いているような気がした。


慧「……涼ちゃん、また明日くるね。大ちゃん、帰ろ…?」

大「…………ん、」

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夢莉(ゆ〜りり)(プロフ) - 苺さん» 返信遅くなり申し訳ありません…!ありがとうございます!本日更新させていただきましたので読んでいただけたら嬉しいです…! (2020年9月10日 18時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(ゆ〜りり)(プロフ) - ゆーさん» 返信遅くなり申し訳ありません…!待っててくださったのですか(照)←ありがとうございます!頑張ります! (2020年9月10日 18時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(ゆ〜りり)(プロフ) - 鍋部さん» 返信遅くなり申し訳ありません…!こちらこそそう言っていただけてとても嬉しいです! (2020年9月10日 18時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが気になります!更新楽しみにしてるので頑張ってください!! (2020年8月11日 21時) (レス) id: 5bca04a89d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - 更新待ってました!!!すごく嬉しいです。頑張ってください! (2020年8月9日 22時) (レス) id: cb796110be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢莉 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年5月6日 17時

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