Ｔｏｐａｚ__4th__

ごめんね、先生＿8 ページ15

慧side




慧「待って涼ちゃんっ！」

「…………最低だ…」


そう言って腰を深く落とすセンセ。


………………ごめんね…………


涼介を追いかけたい気持ちに足が動き出しそうになったけど………今は、心に怪我を負った親友も大事。


実を言えば、俺も仕事が手につかなくなるくらい心配で……………いきなり球技大会はやめさせた方がいいと思っていた。

………中島くんから、練習の様子を聞くまでは。


慧「……やぶぅ…」

「はぁ、悪い……つい。……涼介のことになると、医者って言うより我が出てきちゃうんだよな………あんなこと言うなんて医者失格だ…」


俺が見守ってみることにしたのは、学校から帰ってきて早々に“お腹空いた”って言われたのが大きいかな。

少食の涼介が美味しそうにご飯をたーくさん食べてくれるのが嬉しかった。


それもこれも………


慧「何言ってんの！勝手に失格になられたら困るんですけど。………今まで薮センセに沢山助けてもらったから涼ちゃんは立派な中学生になれたんだよ」


今回は勝手なことをして、お世話になっているセンセには悪いことをしちゃった………

一応連絡はしておいたんだ。
もしかしたら、今日連れていくかもって。

電話先でも怒られちゃったんだけどね。


慧「俺にも非はあるから、あまり気にしないで」


誰かが悪いと言うなら、センセでも涼介でもなく…………それは俺。

だって、止めることも伝えることも出来たわけだからね。


「涼介の成長が本当に嬉しくて……俺はいつの間にか、自分が父親みたいに思ってたのかな………」

慧「そっか……生まれたときから知ってるもんねぇ。俺は薮が涼ちゃんのことをそんな風に思ってくれて嬉しいよ？父親の席は譲れませんけど」

「山田………」


ランドセルを買ったときも、中学の制服が出来上がったときも。

何かある度に涼介は先生にも見せると言って、今度見せに行こうと言うのも聞かずにその日に連れていかれた。

センセだけじゃないよ、きっと。


慧「さぁて、可愛い我が子を探しに行ってきますかっ。センセもよろしくね」

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