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死神 ページ2

「ねぇ」

急に優しい声でそう呼ばれて、思わずビクッと肩が跳ねた。

他人に顔なんか見せたくなかった私は、振り返らずに返答した。

『誰……?』

レイリス「僕はレイリス。君はAちゃんだよね?」

なんで会ったこともないはずなのに名前を知っているのか…

それが恐ろしく、背筋が凍った。

そして、名前を聞いて、手の震えが止まらなかった。

レイリスは…

死神なんだ。

『ッ!お前がターシャを…!』

私は勢いよく振り向いた。

こいつがターシャを殺したヤツならば、何かしらの傷跡をつけてやろうと思ったからだ。

だがその計画は、すぐに無謀なことだと悟った。

死神は、自分よりも、体格が一回りほど大きい…

私の顔は絶望に歪んだ。

それを見た死神は、長い舌でペロリと舌舐めずりをした。

レイリス「良いねその顔、すっごく可愛い!僕、君のこと好きになっちゃったかも…すごくタイプだしさ〜」

気持ちが悪かった。

正直恐怖より気持ち悪さが上回った。

早く帰ってはくれないだろうか…

『あれ、そういえば……お前どうやって家に…?』

唐突にそう思った。

ドアには鍵をしっかりとかけたし、家に窓は無い。

レイリス「あー…っとねぇ、力込めて引いたら壊しちゃったんだ」

レイリスはAから顔を背け、申し訳なさそうに言った。

そしてその後、予想外の言葉を口にした。

レイリス「でも今日から僕の家に住まわせるんだし、別に良いよね。さ、荷造りして!外で待ってるからね」

『え…は?』

本当にあいつは狂っている。

絶対に荷造りなんてしたく無いし死神の家に行くのも嫌だが、言うとおりにしなければ殺されるかもしれない…

そして仕方なく私は荷造りを始めた。


不意に、とある疑問が頭をよぎった。


_どうやって私の元へ来た?_


その答えを聞くために、早足で外に出た。

今は深夜。

暗くてよく見えないが、壊れたドアの前で、君悪い笑顔の死神が立っていた。

手を広げ、まるで「抱きついて」とでも言うように。

意を決し、レイリスに近づくと、急に体が宙に浮いた。

レイリスに姫抱きされたのだ。

『…ッ!?』

レイリス「あはは、驚かせてごめんね。眠そうだからつい…」

意外と紳士なのかもしれない…

一種そう思ってしまった数秒前の自分を、Aは恨んだ。

(…紳士だなんて訳…絶対に無いわ…)

Aは、死神の腕の中、遠のきそうな意識の中でそう思った。

死神への感情→←深淵の森



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作者名: | 作成日時:2021年2月7日 23時

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