ば(れー)かっぷる日常録【赤葦京治】

クラス替え ページ5

｢新クラスの紙配るから出席順に取りに来ーい
じゃあ赤葦〜……｣

程よく無気力な担任の声。
出席番号1番の俺から順に紙を受けとる。

1年最後の席替えで獲得した窓側一番後ろという好ポジションの席に戻って(A曰く、｢少女マンガのヒロイン席｣らしい)、2つ折りの紙を開く。

＿2年6組1席

教室は、紙を受け取った生徒達が喜んだり落ち込んだり、発狂する声で溢れていた。

かく言う俺も、よく移動教室とか一緒に行動していた奴らに取り囲まれてそこで紙の見せあいが始まる。

｢赤葦何組だよ？！｣

｢6だった｣

｢おっ！？ほら勝田、お前以外全員6組だってよドンマイ｣

｢おいまじかー！理系率高すぎだろくそー！｣

｢お前数学壊滅的だもんな！｣

仲良い奴らは基本クラス分けられるって噂があったから、6人中5人同じクラスというのには驚いた。

そこからまた担任予想だとか来月の修学旅行だとか、話が盛り上がる。

そんな中、｢木兎〜…｣と呼ぶ先生の声が聞こえてAの方を見ると、

教卓のど真ん前の席のAは、産まれたての小鹿のようにぎこちなく席を立ち、紙を受け取るとまたそのプルプルとした動きで着席。

案の定、周りの席のネタにされていたが本人はそれすら気付かないらしい。
いや、どんだけ緊張してんだ。

紙を開いたまま固まったAに、周りが何組〜？と紙を覗き込む。

｢あ！A3組じゃん！！一緒だよ〜！｣

｢え、まじ！？おい3組文系の賢いやつ持っていきすぎじゃね！？｣

｢そうかな？っていうかA、いつまで停止してんの、動けー！｣

『はっ！？』

3組か。あ、確か2年は体育が文理混合だったはず。
去年文系3組の白福さんと理系6組の鷲尾さんが体育合同だって言ってたから、今年もそうなんじゃ……

と思考をめぐらせているところで、周りが静かになったことに気付いた。









”3組だってよ、聞いてた？赤葦くーん”

”Aちゃん、俺と一緒だってよ〜赤葦くーん”

”勝田ちょっと黙って”

”なんで俺だけ！？”

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