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そんなにベッタリなのか……と今度はこちらが複雑になる。
敵は何も男だけとは限らないのか、と思うと自然とはぁ…とため息が出る。
そんな俺を見かねてか、碧波さんが口を開いた。
「そもそもね、入ってきた時にぱっとしなかった杏莉の力を引き出したのがAで…」
何でも志摩さんの俊敏さとブロックの反応の速さに目をつけて、元々LiだったのをMBに転向させたのだとか。
「杏莉には、囮に釣られずに冷静にブロック飛ぶセンスがあったし、Aと杏莉の速攻が思いの外上手くハマってね。
おかげで私たちの代で全中のベスト4まで行けたんだよ、すごいでしょ?」
「それは…すごいですね」
なるほど。つまり志摩さんにとって、Aは才能を見つけ出してくれた恩師で、1番敬愛する先輩で。
それを俺に取られた感じがして、あんなにショックを受けていたのだろうか。
「一応聞いておきますけど、志麻さんって」
「うん、恋愛的な意味でAのことが好き…って訳じゃないだろうね」
「そうですか…」
取り敢えず、一安心。ほっと息をつく。
……あ、信号変わる。
青になって渡り始めた瞬間、
「…ぷはっ!あはは!!」
急に金目が吹き出した。
突然すぎて俺も碧波さんも、もちろん向こう側で待っていた木兎兄妹も何事だ、と視線をそちらに向けた。
「あかっ、赤葦、深刻に捉えすぎでしょ…っ!
やば、おもしろ…!!」
「馬鹿にしてる?」
「いや、してな…っあははは!!」
『どうしたのー?』と興味津々にこちらを見るA。控えめに言って可愛い。
Aの身長の低さ故に俺と目を合わせようとすると必然的に上目遣いになるのだが、これが本当に堪らない。やべ、悶え死にそう。
「何でもないよ」
『本当の本当?』
「ん、本当の本当。」
そんな会話で癒されながら歩いていれば、いつの間にかAたちの家があるあの住宅街に着いていた。
「じゃ、俺らこっちだから!」
と言う木兎さんたちに「お疲れ様です」とひと言。
俺と金目は電車組なのでこのまま駅に向かう。
『赤葦、六花、ばいばい!』
「Aばいばい!」
「また明日」
Aの頭に手を置く。
『あかーし、』と彼女が恥ずかしそうに手を広げたので、いつもみたく抱きしめた。
『…赤葦大好き。おやすみなさい』
「ん、俺もA大好きだよ…おやすみ」
その後暫くギューッとして、それから帰路に着いたのだった。
”見せつけんなバカップル”
”ありがとう”
”いや褒めてない”
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とみーさん(プロフ) - アニメ大好きwomanさん» ありがとうございます!本当に更新お待たせして申し訳ないです(--;) (2019年10月2日 1時) (レス) id: e806159e05 (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好きwoman - とっっても面白いので早く続きが読みたいです! (2019年9月30日 3時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
とみーさん(プロフ) - 鶴まじ天使さん» うわぁぁありがとうございます! (2019年8月31日 0時) (レス) id: e806159e05 (このIDを非表示/違反報告)
鶴まじ天使(プロフ) - ふふっ夢主ちゃんと赤葦のやり取りが見てて微笑ましいですね(笑)すごく微笑ましくて面白いです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2019年8月29日 7時) (レス) id: 2390bd5229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とみーさん | 作成日時:2019年8月20日 12時