【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

漆拾陸 ページ29

『ここまでよく来ましたね。
今日から私が君達を鍛えます。
数人既に窶れてますが…あと少し頑張りましょうね！』

というより初っ端の基礎体力向上訓練で半数は死にかけてたな。
ここまでよく頑張ったよ。うん。

「Aさん！」
『久しぶりですね、炭治郎くん。
上弦に遭遇したと聞きましたが、もう体調は大丈夫そうですね』
「はい！すっかり元気になりました！」

ニコニコする炭治郎はとてもとても可愛い。
私の弟弟子がこんなにも可愛い。

『さて、私が行うのは不自由運動訓練。
もしも片脚を、片腕を失ったらどうするかという内容です』

私達が常に万全の状態で戦えるかはわからない。鬼を相手にする限り、怪我をする確率は決して低くはない。

勿論そうなれば出来る限り撤退し休んでほしいが…
それでも戦わねばならない時が必ず来る。

四肢を欠損したらどう動けばいいか。
これは見落としがちだが意外と重要だ。

『まずは片脚を縛ります。体重を均等にするようにしてください。
因みに、片脚があろうがなかろうが、自分の体の重心がどこにあるかを意識することは大切ですよ』

自分の体をどれだけ知っているかが、強さに繋がる。常に分析を怠ってはいけない。

一通り説明し終えた後、隊士の脚を1人ずつ縛っていく。

『よっと』

自分の脚も縛った。
私だけ自由じゃ不公平だしね。

『私から1本取った時点で次の段階へ進みます。
さぁ、かかってきてください！

あ、言っておきますけど、逆に私に一本取られた人は腹筋と腕立て伏せ300回ずつですよ』

そう言うと、中々みんな必死になった。
頑張れ頑張れ。









「ほんとうに、夜柱様、縛られてるんですかそれ…」
「なんで普通に動けるんだ…速すぎだろ…」

私の周りには全員倒れていた。
うん、頑張りは感じるけど…そもそものバランス感覚が悪い人もいるなぁ。

『勿論、君たちと同じ条件でいますよ。
それだけ体の使い方に差があるということです。この訓練を通して意外と知らない自分の欠点を見つけましょうね』

今度は反対側を縛りますよー！と言ったら、みんなが悲鳴を上げた。

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