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参拾捌 ページ40

「とにかく逃げて。私がここを食い止めるわ」
『お断りします。私は戦えます』
「Aちゃん…」

きっとカナエさんは私のことを心配しているのだろう。1人で耐えようとしているのだろう。

でも、ここで引くわけには行かない。

私は、カナエさんを死なせたくない。

スゥゥ、と呼吸をする。
…まずは私から仕掛ける。

『夜の呼吸 肆ノ型__』

姿勢を低く下げ、刀を力強く握る。
鬼を真っ直ぐ捉え…。

『夜嵐の狼!!』

瞬時間合いを詰め、両手で握り締めた刀を振るう。その刃が童磨の胸あたりを切り裂いた瞬間、ぞわりと背筋が凍った。

「血鬼術 蓮葉氷」

警鐘を鳴らす本能のまま、大きく後ろへ飛び退く。
童磨は扇を振り、蓮の花のような氷が発生する。私がさっきまでいた場所は完全に凍りついていた。
…そうだ、どれもこれも触れたら一発アウトな技ばかりだったなこいつ。

「驚いた!君、とても速いんだね。今まであった柱の中で1番速いかもしれないなぁ」
『…そうですか。私は柱ではないですが』
「えぇっ!?違うの!?」

まるで驚きを隠せない!と言った表情だが、この鬼感情がないんだよなぁと思うと腹立つな。
童磨は飄々とした態度で、本心かもわからない言葉を口にし続ける。

「花の呼吸 肆ノ型 紅花衣!」

カナエさんも童磨に斬り掛かる。
ふと嫌な予感がした。

「血鬼術 粉凍り」
『!氷を吸い込まないで!』

霧状の氷が童磨の周りを漂っている。
カナエさんは私の意図することに気づいたのか、襟巻きへと口元を埋めた。

童磨は驚いたようにこちらを見る。

「あれ?なんで知ってるのかなぁ」
『考えれば分かることでしょう、“それ”を吸い込めば肺が壊死することくらい』

元々持っていた知識もあるが、実際に見て判断した。
その場を一瞬で凍らせるものを吸ってしまったらどうなるか。想像に難しくない。

…長い戦いになりそうだ。

この世界に来た時のことを思い出した。
あの時だって耐えきった。
耐え忍ぶのは得意な方だ。
大丈夫。やれる。

私は刀を構え直した。

参拾玖→←参拾漆



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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時

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