壱 ページ3
「あ、煉獄さんが200億の男に」
下校中。
スマホを上下にスクロールさせてそう呟いた私の友人。
「さっすがぁ!煉獄さん大富豪じゃん」
『いやぁ貢いだ甲斐があった。何度煉獄さんの死を見届けたことか…』
アッ、思い出しただけで泣きそう。
鬼になれ杏寿郎…それで怪我全部治して人間に戻れ杏寿郎…!
ああでもそれは良くない考えだよねうわああ…。
『あー、なぜ私には煉獄さんを救う力が無いんだ…不甲斐ない…』
そう言うと、普段つっこんでくれる友人達は無言だ。
『…あれ?』
振り返る。友人達の姿がない。
…。
あれ!?
『え、迷子?この短い間に?え?てか森!?』
いつの間にか辺りは木しかない。
学校周辺に森なんて無かったはずだけど!!
どこですかここは!?
カァ、カァ…
カラスが鳴く。空を見上げればもう暗い。
__夜だ。
『…おかしい』
さっきまで、日は落ちてなかったのに?
さっきまで住宅地だったのに?
何が起こっているのか。訳も分からない場所に一人取り残され、不安が膨らんでいく。
『とりあえず電話…。?うそ、繋がらない』
まさか圏外?
いよいよ連絡手段がなくなってしまった。
もし動物に襲われたら。
もし森から出られずに食料が無かったら。
もしこのまま家に帰れなかったら。
次々と嫌な想像をしてしまう。
ダメだ、嫌な仮定忘れて、対処するのが先だ。
そう思い首を振って思い直した時だった。
「お嬢ォちゃーん…」
背後から声を掛けられる。
ぞわりと身の毛がよだつ。それほど不気味な声だった。
それでも、声がした方を振り向く。
『ひ、っ』
見るからに、人間ではない異形のバケモノがいた。
「こぉんな夜に出歩いちゃいけないねェ!!!」
バケモノは私に飛びかかる。
考えるより先に体がそれを避けた。
しかし尻餅をついてしまう。
状況に頭がついていけない。
どうして。どういうこと。
『な、に…なんなの…』
「その様子だと鬼を知らねぇらしいなァハハ!」
鬼、と名乗った男は、つらつら言葉を並び立てる。
曰く、人を食べるのが鬼だと。どうやっても鬼は死なないのだと。
そんな、まるで、鬼滅の刃みたいな。
「夜に出歩いた自分を悔やみなァ!」
鬼は物凄いスピードで襲いかかる。
咄嗟に立ち上がり、背負っていたリュックを鬼へ振り落とす。
仮にも受験生の、教科書パンパンの重い鞄なので、それなりの威力は出る。
油断していた鬼は後ろへと転がった。
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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時