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『んんーおいしいっ』
ある日曜日の夜。
キッチンでクッキーを食べながらそう呟く私。
先週テストも終わったことだし場地へのご褒美にクッキー焼いてあげようと思ったわけだ。
まぁ“俺は千冬とペヤング食いてぇ”とか言い出すんだろうけど。
無理矢理にでも渡してやろう。
「ちょっと何これ汚い!」
『あ、ママ!クッキー美味しく焼けたの!』
「それは良いけど…何この残骸」
『…苦労の結晶』
リビングからキッチンへやってきた母が机の上を見てそう言う。
実はこの成功したクッキーが焼けるまで何回も失敗した。
材料の分量間違えたり、焼きすぎて真っ黒焦げにしたり粉床にぶちまけたり。
それはそれは悲惨だった。
ちゃんと綺麗にしておいてよ、と呆れながら言う母に返事をする。
仕方がない、片付けるか。
・
・
翌朝。
玄関で靴を履きながら見送ってくれる母と話す。
『行ってきます!』
「ちゃんとクッキー持ったの?」
『もちろん!場地もこれで私にメロメロだよ♡』
「…馬鹿ねぇこの子。どこでこうなったのかしら」
そう話す母をガン無視して私は家を出た。
娘になんてこと言うんだ。
いつもは鞄を振り回して登校してる私だけど、今日は慎重。
クッキー割れちゃったら嫌だもんね。
「あそこに挙動不審なやついません?」
「うわマジじゃん」
「よく見たらAに似てませんか?」
「うっわ、Aだな」
場地と千冬の団地より少し行ったところでそう聞こえた話し声。
それに反応して振り返ると思ったとうり場地と千冬が一緒に歩いていた。
一緒に登校か、羨ましいぜ。
『おはよう!』
「ちょ、なんか話しかけてきましたよ」
「こえーから逃げようぜ」
「そうしましょう」
『おい待てコラ』
私を置いて学校に向かおうとする2人をそう引き止める。
なんだあいつら何様だ。
腕を掴む私を見てすごく不審そうな顔をする2人。
これいじめってことで良いだろうか。
『クッキーあげようと思ったんだけどなぁ』
「俺場地さんとペヤング食った方がいい」
『おい千冬それ場地の台詞』
「は?」
場地が言うと思った台詞を千冬が言いやがった。
惜しい私。
そう思いながらも鞄の中から包装されたクッキーをチラつかせると一瞬で奪われた。
補足だが、ちゃんと千冬の分も作ってきた。
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みや(プロフ) - にるさん» そんな風に感じながら読んでもらえてすごく嬉しいです!ありがとうございます! (2021年9月3日 23時) (レス) id: d7231c8dfb (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - まちゃさん» ぜんぶ嬉しいお言葉ばかりで泣きそうです…!ありがとうございました! (2021年9月3日 23時) (レス) id: d7231c8dfb (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - 読み始めた頃は物語がどんな感じで進んでいくのか予想がつかなかったのですごく面白かったです!新作も楽しみにしてます!! (2021年9月3日 11時) (レス) id: 1dc1023941 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - 終始きゅんきゅんしながら見てました; ;タイトルからして面白そうだなと思っていて、いつも通知が来る度喜んでました笑。夢主の性格もThe女の子という雰囲気がないところが好きです!次回作も楽しみにしてます! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 9bf8242341 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» 場地さんにはどっちでもいけるポジションでいてほしかったです()ありがとうございました! (2021年9月3日 2時) (レス) id: d7231c8dfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや | 作成日時:2021年8月25日 0時