東京卍會の姉貴

圭介▽ ページ32

顔がじんじん熱い。

だけど今泣くと圭介が悪いみたい。

だから唇を噛んでぐっと笑った。



場｢あ、A、その｣

『コラ、ダメでしょ喧嘩しちゃ。すみませんね、ウチの弟が』

｢あん？姉ちゃんかよ｣

｢まァ姉ちゃんに免じて許してやらぁ｣



男たちが去っていくと、圭介は突然私の手を掴んで店を出た。

店員さんが商品を持ってきていたので、置いといてくれとだけ伝えた。



『ちょっと圭介！どこ行くの！』

場｢…｣



足が速い圭介に掴まれて走ってるのでかなりしんどい。

それより何で何も喋らないの。



『圭介！いい加減に』

場｢…わり、殴るつもりなんて、なかった｣



店からだいぶ離れてやっと止まった圭介がそう話す。

手はきつく握られたままだった。



『さっきの？気にしてないって』

場｢女の顔殴って何が壱番隊隊長だ｣



事故とはいえ私を殴ったことを後悔している。

本当に事故だし怒ってないのに。



『間に急に入った私も悪かったし』

場｢何で責めねえ！｣

『…は？』



怒りながらそう言ってこちらを向いた圭介は泣いていた。

なんだよ、痛くて泣きたいのはこっちだっての。



場｢…前喧嘩巻き込まれて殴られたって聞いた、怖かっただろ｣

『まあそれなりにね』

場｢それ聞いて俺は、守ってやるって決めてたんだ。なのに俺が傷つけちまった｣



ダセェな、とその場に座りこんでしまった。

人通りがなくて助かったけど、そんなに自分を責めなくていいよ。



『…はー…圭介、こっち向いて』

場｢…嫌だ、今情けねー顔してる｣

『向けっての』

場｢んぐ｣



一度私の目を見させてからぎゅっと抱きしめた。

圭介の顔を私の襟あたりに抑えつけて顔は見えないようにして。



場｢…なに｣

『心臓の音聞こえる？ドクドクいってんでしょ』

場｢ん｣

『心配しなくても、人間はそんなヤワじゃない。圭介に殴られたくらいで死なないし死ねない』

場｢…分かってらそんなこと｣

『分かってるんでしょ？なら守らなきゃとか勝手に責任感じて落ち込まないで。私だって圭介を守りたい』



私を一方的に守ろうとしないで。

そう言うと小さくん、と聞こえ、抱きしめ返された。

よしよし、と背中をさするとガキ扱いすんなと言ってきたが、私の手を振り払う気配はない。

チームとか組織とか、そういうのに属しているからこういう子になるんだろう。

でもね、知ってると思うけど。



『"お姉ちゃん"だからね。頼っていいんだよ』

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