【短編集】誰かと甘いひとときを2【仮面ライダー・戦隊】

〇続、遠い春【S/ナダ】 ページ32

すももさん、リクエストありがとうございます！




「ナダ、次の日曜日、特訓付き合ってくれよ！」

今日も平和な龍井家で、コウがナダにそう持ちかけた。

「次の日曜？…あぁ、すまん。その日は別の大事な用があんねん。」

しかし、いつもなら二つ返事で了承してくれるナダが、珍しくコウの誘いを断った。
コウも、それなら仕方ないとその時は諦めたのだが…。

「めっずらし〜！ナダ、どんな用事があるんだろ？」

その日の夕方、買い出しから帰ってきたアスナとメルトに昼間のことを話すと、アスナは興味津々といった様子で食いついてきた。

「もしかして…前に言ってたカフェの店員さんとデート、とか！？」
「え！？ナダが！？」

そしてアスナの声をどっから聞きつけたのか、トワが会話に割り込んできた。
バンバとメルトは、「こうなったら止めるのもめんどうだ」といった具合に遠くから視線を送っている。

「もしほんとにあの店員さんとデートなら…」
「これはついてくしかないでしょ〜！」

「オト、兄ちゃんに恋人ができても、アスナやトワみたいにはなるなよ…。」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんに恋人が出来るなんて、まだまだ先の話だと思うから。」

ゲスなトワ、アスナの横で若干引いた目をしているコウ。更にその様子を見つめつつショックできのこを生やしそうな勢いのカナロと、それをやんわりなぐさめるオトちゃん。そこに加えて出来るだけ関わらないでおこうというバンバと、頭を抱えるメルト。

とりあえず龍井家は家主不在の中いつも通りカオスであった。



そしてきたる日曜日。

「よし、いいね二人とも？ナダにばれないように気をつけること！」
「平気平気！アスナじゃないんだし。」
「ちょっとコウそれどういう意味よ。」

意気揚々と出かけていったナダの後ろをコソコソつけまわるコウ、トワ、アスナ。

「あ、止まった…ここが待ち合わせ場所…？」

10分ほど歩くと、ナダは大きな時計のある広場で立ち止まった。顔が若干ニヤついていることからみて、ここが待ち合わせ場所で間違いなさそうだ。

「あっ、きた！やっぱりこの前の店員さんだよ！」

ナダを挟んで3人の向こう側からやってきたのは、先日のカフェの店員莉乃。アスナのテンションは一気に上昇する。

「お前ら、こんなとこでなぁにをコソコソしとんねん。」
「ナダ…！あちゃあ見つかった！！」

3人が莉乃に釘付けになっている間に、なんと尾行していたことがナダにバレてしまった。

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