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しばらく院内を駆け回って、おばあさんを見つけ病状を伝え、明日にでも診察を受けると約束をして私は戻ってきた。
戻ってきた検査室には、まだ大我が残っていた。
「あの…ありがとう、ございました。私だけじゃ、あのおばあさんは救えなかった…感謝します。」
深々と頭を下げると、大我は鼻で笑った。
「なっ…人が真面目にお礼言ってるのに!」
「お前、俺に真面目に礼なんて言えたんだな。」
バカにしたように言う大我に、私はカチンときた。
「なんですかその言い方!見直してたのに…取り消しです!」
「見直した?俺をか?」
「そうですよ!免許がなくたって、患者さんのこと考えてる根っからのお医者さんなんだなって意識を改めたところだったのに…。」
そこまで言って大我の顔を見ると、私に怒られているとは思えないくらい、優しい顔で笑っていた。
「そうか…ならいい。」
「え…ならいいって、なんですか…。」
大我は私の問いには答えずに椅子から立ち上がると、通りがけ私の頭に手を置いて、検査室を出ていった。
「な、な、なに、なんだったの…!?」
いつも花家大我のイメージとかけ離れすぎて、軽くパニックになりながら、動くこともできずに彼の背中を見送った。
一方そのころ、花家医院では。
「あれ、大我じゃん。おかえり〜。」
「ニコ、お前なんでいるんだよ。」
「留守番しといてあげたんじゃん。」
ニコにぶーぶー言われながら、自分のデスクに腰掛ける大我。
「見直した、か……。」
ついさきほどの莉乃の言葉が、頭の中を巡る。
今まで「免許がないから」「もう医者ではないから」と遠いところから見守っていたつもりだったが、今回のことでだいぶ近づいてしまったように思う。
「いまさら医師免許のことをどうこう言うつもりはねぇが…。」
免許がなくては、同じ科で働くことはできない。失くすものなどもう何も無いと思っていたのに、気づけば、そう簡単に死ねない理由が出来てしまっていた。
「てっきり俺は嫌われてると思ってたんだがな。」
「なに大我、独り言?」
「…気にすんな。」
ニコにぶっきらぼうな返事をして、大我はふんわりと笑った。
advice=忠告・助言
〇5人目の怪盗【S/ノエル】→←〇先輩からのadvice【K/大我】
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みかげ(プロフ) - スピカブラックさん» すみません、だいぶ前に書き上げていたのに、公開したつもりになって非公開のままで…お待たせしました!! (2020年6月12日 23時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 瑠花さん» お久しぶりです瑠花さん!!!バーニングな迅さん、難しかったんですけどもうなんか大人にしとけばいいだろうと思って書きました!!(おいこら)いつもコメントしてくれてほんとにありがとうございます!またリクエストしてくださいねーー!! (2020年6月9日 1時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - スピカブラックさん» かしこまりました!しばしお時間いただきます! (2020年6月9日 1時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
瑠花 - みかげさん» お久しぶりですみかげさんー!!!しばらく見れてなかったんですがバーニング迅さん!!!ほんとに初ですかってくらいバーニング迅さんでした!!!!素敵な迅さんをありがとうございます!!体調等色々気をつけてお過ごし下さい…! (2020年6月8日 9時) (レス) id: 8c3e454506 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクで時雨で甘で書いて欲しいです! (2020年6月8日 1時) (レス) id: d87ef36352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかげさん@仮面ライダー | 作成日時:2020年1月2日 11時