21 ページ22
.
先生が話をする寸前に聞いている音楽をとめ、
片耳だけイヤホンを外した。
「正直感心している。
お前達がこんな高得点を取れるとは思わなかったぞ。
お前達の頑張りは認めよう。」
「 だが、須藤。お前は赤点だ。」
赤いマジックでビシッと引かれた先には
英語 須藤 健 39点 と印されていた。
「 ..っは、何で俺が赤点なんだよ！！？」
その質問に、先生は答えた。
「 今回の中間テストの赤点ラインは40点未満だ。
中間テストの平均点は79.6、それを2で割ると、
小数点は四捨五入され、赤点は40未満ということになる。」
続けて容赦なく先生の言葉は、須藤の心を刺した。
「 短い間だったが、ご苦労だったな。
放課後、退学届を出してもらうことになる。
職員室に来るように。」
そう言うと、先生はクラスから出ていった。
「 皆、このままで本当にいいの？！」
必死にクラスメイトに呼びかけるが、反応は無い。
彼は2回目、勉強会に誘ったけれど、それを拒んだ。
たとえ過去問があったとしても、配られたのは、
前日。勉強の量が明らかに違うことは定かだった。
堀北さんが、部活終わりの須藤くんに
ノートを渡しているのは分かっていたけれど。
それでも、足りなかったのだ。
どうにかしなくてはならない。
まだ、手段があるはずだ。
でも、一人だけの力でどうにかなる問題だろうか。
迷っていた。
「 悪い。 俺トイレ行ってくる。」
そういって、綾小路くんは教室を出ていった。
それと同時に、堀北さんが声をかけてきた。
「ねぇ、Aさん。綾小路くんをつけてみない？」
『 ｴｯ... 』
冗談で反応したつもりだったが、
睨んでくる堀北さんの目は本気だった。
『 分かったよ。 』
そういって、僕と堀北さんは彼の後を追ったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名希望 | 作成日時：2022年10月10日 23時
