弟の存在〜JSside ページ8
なんで、コイツがここにいるんだ…?
混乱する僕の視界に、ずいっと大きな身体が入り込んだ。
「ジュンス!元気だったか!?」
言いながら、回された手で背中をバンバン勢い良く叩かれる。
「いたっ、痛いからっ!」
どんっとチャンミンを押すように離れると、ニヤッと笑ったチャンミンが、もう一度僕に抱きついてきた。
「ジュンス。俺がいない間、変わったことはなかったか?お?」
「何の話だよ!」
「Aの事に決まってる。まさか、Aに変な事してねぇだろうな」
耳元で聞こえる低音に、慌てて離れた。
「してねーよ!」
「ならいいけど」
目の前ではセナちゃんが「血が繋がってないってどういう事!?」と興奮しながら、Aに詰め寄っている。
「セナ、信じてよ。本当に弟だ、」
説明しようとするAの口を手で覆ったチャンミンが、ニッコリ笑顔を作った。
「Aは俺にとって、世界で一番大切な人なんです。
だから、もしAに変な男が近付いてきたら、すぐに俺に教えてくださいね?」
その完璧なまでの笑顔に、セナちゃんの顔がほんのり赤く染まる。
あぁ……。また始まるのか。
あの悪夢のような毎日が。
昔は『ヒョン、ヒョン』って僕の後ろをついてまわる可愛い弟だったのに。
それがいつからか、Aの事も『ヌナ』とは呼ばなくなって、僕の事も『ジュンス』と呼び捨てになった。
中学に入ってから、少しずつ女の子らしくなっていくAに僕はヤキモキするだけだったのに。
僕より背が高くなったチャンミンは、まるでAが自分の彼女かの様に振る舞いながら、Aに興味を持つ男たちを威嚇し続けた。
いつもAのそばに張り付いて。
高性能なシールドみたいにAを守って。
中々男の子達が話をしてくれないと嘆いていたAが、それがチャンミンの仕業だと気付くのにそう時間はかからなくて。
あー…、だからだったのかもしれないな。
チャンミンがいたからだったのかもしれない。
Aが誰かを好きだと言い出しても、誰かをカッコイイと騒いでも
本気になることがなかったのは。
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ち - はじめまして!アラサーペンのわたしですが、こんな高校時代を過ごしたかったとキュンキュンしてしまいます。更新楽しみに待ってます(^^) (2021年1月24日 10時) (レス) id: c2ed9163db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年6月23日 16時