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「───その日からなんです。チャンミンが私を異常なほどに干渉し始めたのは……」


緊張で少し震えてしまう声。

誰かにこの話をするのは、初めてだった。


黙って話を聞いてくれたユノ先輩の手が、膝の上で固く握り締めた私の手に、そっと触れた。


「……その男は今どこにいる?」

「……え?」

「まだ同じマンションに住んでるの?」

「いえ……。あの後すぐ、大学受験に失敗したことでメンタル崩壊してご家族で引っ越されたと聞きました……。もしかしたらお兄ちゃんが私にあんな事をしたのは、受験勉強のストレスからだったのかもしれません……」

「なんだよそれ……。警察には?」

「……言ってません。実は親にも話してないんです」

「どうして……」

「恥ずかしかったんです……。誰かに知られるのが。例え親でも……。チャンミンにも誰にも話さないようにお願いしました……。だから尚更だったんだと思います。チャンミンの中で、私の姿がきっとトラウマとして残ってしまったんだと思います……」


そう言うと、ユノ先輩が頭を抱えて深く息を吐き出した。



「……ごめん、Aちゃん。辛いのはAちゃんだって分かってるけど……、その男をぶん殴らないと気が済まない……」

「ユノ先輩……」




恥ずかしいし、情けないし、何一つ誇れることじゃないけど

本当に悔しそうに、私以上に本気で怒ってくれるユノ先輩に、申し訳なさと嬉しさで感情が入り乱れる。


「こんな話……ごめんなさい」

「Aちゃんが謝る事じゃない。Aちゃんは何一つ悪くないから」


そう言って、ふわっと抱きしめられた身体。


「話してくれてありがとう。それと……何も知らないで、変な誤解してごめん……」



私の頭を撫でてくれる優しい手。

私を包んでくれる広い胸。




……今、気付いた。



忘れようと思っていた。

恥ずかしかっただけで、なんてこと無かったんだって思い込もうとしていた。

だけど、違った。


私、怖かったんだ。辛かったんだ。

私、傷付いていたんだ。



「ユノ…先輩……っ、」




あの日から5年の月日が経って


あの時の事で


私は初めて泣いた。

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- はじめまして!アラサーペンのわたしですが、こんな高校時代を過ごしたかったとキュンキュンしてしまいます。更新楽しみに待ってます(^^) (2021年1月24日 10時) (レス) id: c2ed9163db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年6月23日 16時

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