"夢が叶う" ページ24
○
その後、先生が何か話していたけど頭が真っ白になって何を話していたのか分からなかった。
「……じゃあ、親御さんに連絡して来るね。」
そう言い席を立ち、病室を出て行った。
しばらくただ窓の外を眺めていた。
何も考えたくなかった。
ガラガラガラとまた扉が開く音がした。
私は扉の方を見た。
「目が覚めてよかった。」
大きなリュックを背負った出久が花束を持って近づいてきた。
『わざわざ来てくれたんだ。ありがとう。お母さんは？』
私はあえて明るく振る舞った。
「さっきお医者さんに会って話をしてるよ。どうぞ。お見舞い。」
そう言い、出久は私に花束を渡した。そして、出久はリュックを下ろして椅子に座った。
『青薔薇なんて珍しいね。なんでこれにしたの？』
私は綺麗な青薔薇を見ながら尋ねた。
「さっき花屋さんで青薔薇すっごく綺麗に見えてね。本当は薔薇とか寒色系の花はお見舞いには向いてないらしいけど、なぜかとても惹かれたんだ。この花に。」
『確かに。綺麗だね。』
私は花びらを触りながら答えた。
「それで店員さんに花言葉は何ですかって聞いたら、"夢が叶う"って言ってて。Aにぴったりだなって思ったんだ。」
『そうなんだ。知らなかった。叶うといいな。』
そう言うと、出久はにっこり笑って頷いた。
それから少しの間、沈黙が私達を包んだ。それを壊すかのように私はゆっくり話し出した。
『さっきお医者さんと話してね。私ね、心臓の数値が悪化しちゃってるみたいなんだ。』
その瞬間、出久の顔が一瞬曇った。それでも御構い無しに今の気持ちを吐き出す事にした。
『ちょっと前から手の震えがあったんだけど、今の生活が本当に楽しくて、こんな事を経験した事が無かった。この生活を壊したくないって思った。だから言いたくなかったんだ。』
私の声は多分震えていた。
『これ以上悪化すると命に関わるって言われちゃった。お医者さんはね、ヒーローになるのは勧められないって言ってた。自業自得かもしれない。』
私は一瞬目を瞑って、深く息を吸った。
『それでもね、それでも、やっぱり私はヒーローを目指したい。出久は……応援してくれる？』
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もーりーふぁんたじー - 続きが気になる終わり方だ……。 (2020年3月26日 23時) (
レス) id: a8e855356f (このIDを非表示/違反報告)
はるちこ(プロフ) - るーうさん» コメント、ありがとうございます。心が温まるなんて素敵なコメントを頂けて嬉しいです。最後までこの小説に付き合って下さり、ありがとうございました。 (2019年8月19日 0時) (レス) id: 8177e20443 (このIDを非表示/違反報告)
るーう - 『ありがとう 』ではとても、心が温まりました。応援してます!頑張ってください。 (2019年8月16日 18時) (レス) id: 9a705ef9bc (このIDを非表示/違反報告)
はるちこ(プロフ) - ヨシさん» コメント、ありがとうございます。初めて他の方からの感想を聞けてとても嬉しいです。過去編はもうすぐ終わり、日常を描いたり、少しシリアスな話も織り込んでいこうと思っています。楽しみに待って頂けると幸いです。 (2019年7月18日 19時) (レス) id: 8177e20443 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 優しくて、少し悲しい物語ですね…！めっちゃそういうの好きです！更新頑張ってください！ (2019年7月18日 17時) (レス) id: f7869a3f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるちこ | 作成日時：2019年7月16日 0時
