勧められない ページ23
○
日の明るさで目を覚ました。
目の前には真っ白い壁。
薬品のツンとする匂い。
あぁまた戻ってきちゃったのか。
私は病院にいた。
ふと横を見ると点滴が腕に繋がっていた。
私が小中学生の時は、体調が悪化すると出久がすぐに駆けつけてくれて、目が覚めるといつも手を握っていてくれたっけ。それがとっても嬉しかったなぁ。
でも今は出久も忙しいから仕方ない。そんなことを考えていた。
するとガラガラガラと扉が開く音がした。私はベットの上で上半身を起こした。
「目が覚めたんだね。2日間意識が無かったんだよ。」
と言いながら主治医の先生が近づいて来た。
先生は私のベッドの横で立ち止まり、お見舞い用の椅子に座った。
「今回、意識が無かった間に色々検査をしたんだけどね、心臓の数値が悪化してたんだ。自覚症状、あったんじやない? 例えば手足が震えたりとか。」
そう言う先生の表情は真剣だった。
『……。』
私は先生の目を見ていられなくなって目を逸らした。
「やっぱり自覚症状あったんだ。前、退院する時に言ったよね? 何か調子が悪いなって思ったら、ちゃんと病院に来てねって。もう少し早く来ていたら、もっとちゃんと治療出来てのに。」
先生は少し怒りを込めて言った。
『ごめんなさい……。』
私は涙が溢れそうになった。
「こんな時に言うのもあれだけど、これ以上悪化したら最悪の場合、命の危険があるんだ。普通に生活するのは大丈夫だけどね。」
先生は一呼吸置いて口を開いた。
「はっきり言ってヒーローを目指すのは勧められないかな。」
その瞬間、涙が引っ込んだ。
『そんな……。』
私の口からその言葉は無意識にこぼれていた。
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もーりーふぁんたじー - 続きが気になる終わり方だ……。 (2020年3月26日 23時) (レス) id: a8e855356f (このIDを非表示/違反報告)
はるちこ(プロフ) - るーうさん» コメント、ありがとうございます。心が温まるなんて素敵なコメントを頂けて嬉しいです。最後までこの小説に付き合って下さり、ありがとうございました。 (2019年8月19日 0時) (レス) id: 8177e20443 (このIDを非表示/違反報告)
るーう - 『ありがとう 』ではとても、心が温まりました。応援してます!頑張ってください。 (2019年8月16日 18時) (レス) id: 9a705ef9bc (このIDを非表示/違反報告)
はるちこ(プロフ) - ヨシさん» コメント、ありがとうございます。初めて他の方からの感想を聞けてとても嬉しいです。過去編はもうすぐ終わり、日常を描いたり、少しシリアスな話も織り込んでいこうと思っています。楽しみに待って頂けると幸いです。 (2019年7月18日 19時) (レス) id: 8177e20443 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 優しくて、少し悲しい物語ですね…!めっちゃそういうの好きです!更新頑張ってください! (2019年7月18日 17時) (レス) id: f7869a3f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるちこ | 作成日時:2019年7月16日 0時