依頼完了? ページ21
そ、それってかっこ良さげに言ってるけど要するに…
「気にしなくていいって事よ。どうかゆっくりしていて…?」
「ぅ…」
「分かりました」そう言おうとしたんだけど…、カラン、という音が部屋に響いて遮られた。
この音は、このお店の扉を開けた時になる音……なんだか、ちょっとカフェみたいだよね。
「__いらっしゃい」
さっきまでとは全く違う、真剣な顔をしたエージェントさんが、笑っているのにどこか不気味で妖しい笑顔をしながら言う。
…そうだ、お、お客さんっ…
慌てて私は出入り口の扉の方を見る。
「………」
そこには、1人の女性。
…一瞬、人間じゃないのかと思ってしまった。
別に人外の特徴があった訳じゃないけど、人間とは思えないくらいに…とても暗い顔をして、生気がなんだかなくて…
幽霊か何かかと失礼だけど思ってしまった。
「ふふふ、あらあら…もっと明るい顔をしていいのに。しっかり貴女の望みは叶ったのだから」
女性は困ったようなプロキシさんの言葉にも、少しプロキシさんの方へ視線を向けただけで何も答えない。
「リヴェ、お茶か何か…、…いや。彼女が欲しいのはお茶よりこっちかな」
と言えばエージェントさんは片手にマジックのように突然封筒を持ち、私へ「ごめん」とでも表すように、もう片方の手を顔の前で軽く合わせた。
…エージェントさんもプロキシさんも、知ってる人みたい…
「……!」
緊張してるのかなんなのか、頷いて「大丈夫です」と暗に示すことしか私は出来なかったけど…
女性の方は封筒を見ると、エージェントさんの方へ近付いていった。
「あまり中身を見るのはお勧めしないんだけども、君のもう1つの望みだったからねー…、
復讐屋は¨依頼主¨に従うしか出来ないから」
なんだか自嘲するように笑ったエージェントさんは、その封筒を女性へ渡す。
中身を軽く確認した女性は、口の端を不気味につり上げた後、鞄から何かを取りだし、目の前のテーブルへと数個置いた。
虹色に淡く輝く、大きな結晶のようなもの。
この世界のお金…あれだけあればい、一体いくらに……
「ありがとう、ございます」
最後に女性はそう小さく言って、さっさと踵を返してしまう。
「…また貴女がここへ来ることにならないよう、願っているわ。」
踵を返して帰ろうとする女性を見れば、プロキシさんは扉を開け、そうどことなく悲しそうな笑顔で言った。
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑 - 紅楓さん» そう言ってもらえるととても有難いです!コメントありがとうございます、これからも頑張りますねっ (2020年5月12日 16時) (レス) id: 8fad606fce (このIDを非表示/違反報告)
紅楓(プロフ) - 面白いです!作者様のペースでいいので、更新頑張ってくださいね! (2020年5月12日 9時) (レス) id: 082dab1426 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 緑さん» いえいえ、コメント欄に大変失礼いたしました。 (2019年11月4日 22時) (レス) id: 638a835745 (このIDを非表示/違反報告)
緑 - 二次創作を書いていたつもりはないので今もフラグを立てていますが、何かあればまたコメントしてくれると有難いです、ゆりりんさんもわざわざコメントありがとうございますっ (2019年11月4日 16時) (レス) id: 8fad606fce (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 緑さん» こちらオリジナルで大丈夫ですよ…? (2019年11月4日 2時) (レス) id: 638a835745 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒夜 緑 | 作成日時:2018年9月2日 18時