My Special HERO !! 【東海オンエア】

＃07 ふたり ページ8

これが、彼を意識した2度目の瞬間。

冷たそうで態度の悪い人。
最初の印象はそりゃあもう最悪だった。

騒がしくて、頭が悪そうで、かつ性格が悪いなんて、全っ然王子様じゃない。


｢りょう教えて｣

｢数学ならてつやと一緒に教えてもらえばいいじゃん｣

｢しばゆー教えて｣

｢今生物で忙しい｣


私の隣に座ってるから一番前にいるてつやくんが、一番後ろで断られ続けるとしみつくんを見て大爆笑してる。

男の子って不思議、仲いいのか悪いのか分かんないけど仲良しなんだよね。


｢とーしーみーつ！来い！｣

｢やーだよ｣

｢鳴海ちゃんわかりやすいぞ？｣

｢俺はいーよ｣


そんなこと言ってる今も、としみつくんは左手で髪をぐしゃっとして、難しそうな表情。

てつやくんより器用みたいで、素早くペンをクルクル回してて、全然進んでなさそう。


｢あ、あれ、としみつっていうんだけど｣


やっと前を向いたてつやくんにつられて、私もてつやくんに合わせて前を見る。


｢かなり荒っぽいけど中身はいいやつだから｣

｢へぇー｣

｢性格悪そって思ってたでしょ｣

｢えっ？！｣


なんかてつやくんに全ての感情読み取られてる気がする。

怖い怖い。


｢で、あんなんだけど歌めっちゃ上手いの！｣


私の感情を完璧に読み取ったことには全く触れず、てつやくんはご丁寧にとしみつくんの紹介を続ける。


｢おい！てつや！勝手に俺のこと話してんじゃねーよ｣

｢え！聞こえてんの？！｣


あーあ、せっかく前向いたのにまた身体が後ろ向いちゃった。


｢そんなバカでかい声で話してんだから当たり前だろ？！｣

｢としみつがわるい！｣

｢なんでっ？！｣


やっぱりいつも業後が騒がしいのはこのふたりが原因だと改めて実感。

私が知らないだけで、他の科の人達はみんなこんな感じなのだろうか。

それはそれで興味がある。

そういうとこの方が王子様との出会い、落ちてるのかもしれない。

そういえば、華ちゃんの彼氏さんだって特進じゃなかった気がする。


｢としみつはほっときゃいいわ｣


｢俺は鳴海ちゃんに教えてもらうからねー！｣って勝ち誇った顔。


｢走れなくなったら死ぬもん｣


そういえば、赤点とったら部活できないって言ってたもんね。

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