My Special HERO !! 【東海オンエア】

＃06 サインコサイン ページ7

｢サインってなんぞ？｣

｢それが分からなくて授業どうやって聞いてたの？｣

｢んー、なんか呪文みたいだなーとは思ってたな！｣

｢じゃあcosは？｣

｢コサインはなんか危ない薬みたいだなーとは思ってた！｣


続けて｢tanは？｣って聞こうと思ったけど、もう絶対まともな答えが返ってこないことが分かったのでぐっと飲み込んだ。


｢sinは1年生の時にも出てきたでしょ｣

｢その時がら分からんかったもん｣


｢だから数学やなんだよなー｣って背もたれに体重をぐっとかけたり戻したりして、椅子をグラグラさせて、ペンを器用に回す。


｢分からなかったら質問しないと｣

｢だから、鳴海ちゃんに質問してる！｣

｢それは偉いんだけどー...｣


気づけばてつやくんとの距離はぐっと近づいていて、りょうくんと話してるみたいなドキドキは全くなくなっていた。

かなり自然に近づいてきてくれたのもあって、最初から仲良かったみたいな安心感があって不思議だった。


｢あー！！わからん！！｣

｢としみつうるさい｣

｢りょう怖いー！！｣

｢としみつうるせえええええ！！｣

｢しばゆーもっと怖ええ｣


結構静かな教室に3人の声がまた響いて、驚いてビクッとしてしまう。

うるさいって怒ってる柴田くんの声の方がうるさい。


ビクッとした私を見て、てつやくんが、クスクス笑ってる。


｢なんか、鳴海ちゃん面白い｣

｢なっ、なんで？！｣

｢今、ビックリしたでしょ、その後うるさいなあって思ったでしょ｣

｢なんで分かったの？！｣

｢わかり易すぎ｣


そう言うと、ノートの端に鳴海ちゃん面白い人、って、落書きをしてその横に私の似顔絵らしき女の子を描いている。

特徴を掴みすぎたその女の子は完全に私だった。


｢おーいとしみつー！数学ならこっちこいよー｣

｢やだ、そっちが来いよ｣

｢はあ？！お前教えてもらうのにその態度はなんだ！｣


｢そーだそーだ！！｣っててつやくんに続いて野次を入れたい気持ちをぐっと抑える。

えっ、なにあの人！！

一言も話したことないし知らない人だけど態度悪っ！


｢女の子慣れしてないとしみつ照れてんなー｣


いや、照れてるとかそんな平和な言い方じゃなかったでしょ？！

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